「農民」記事データベース20011001-510-05

「初めての挑戦、実った!」

山形県庄内農民センター

 今年、二十九道県に広がった「スーパースイートきぼう」のリレー出荷。「初めてトウモロコシを作った」という山形・庄内農民センターの佐藤光雄さんから届いた「泣き笑い記」を紹介します。


スーパースイート「きぼう」泣き笑い記

 「播かぬ種は生えぬ」とがんばっている関東の“先進”に続こうと、山形・庄内もトウモロコシ「きぼう」の種を五十袋買って作付けました。

 とんとん拍子に進んだが…

 一〜二月に二回の栽培講習会を開き、五月になって元肥散布、マルチ張り、そして五回の種まき。作付面積は、九人で約一ヘクタールです。この間も庄内特有の強い西風で、マルチがはがれ、はがれては直しの連続でした。

 毎日のように入る栃木農民連の海老原恒夫さんのメールが心強いこと、この上なし。なにしろ全員がトウモロコシの栽培経験のない者ばかりです。管理は後追いになり、追肥も忙しくてやらずじまいになってしまいました。

 さていよいよ七月末、畑まわりをして「そろそろ収穫時期かなー」「どこさ売るかなー」と、仲間が集まり、サンプル用に穫ってきた「きぼう」を眺めながらジョッキ片手に相談。翌日、地元の鶴岡生協にサンプルを持って行くと、担当者は生のトウモロコシをその場でガブリッ。「これはうまい。減農薬栽培スーパースイートで大量に売り出そう」と、トントン拍子に。

 八月に入ると、生協のチラシに、「甘さ抜群、糖度十八度、減農薬栽培トウモロコシ、生産者・庄内農民センター、三本で百九十八円」と生産者の写真入りでデカデカと載り、翌日から連日、千〜二千本の発注が入ってきました。

 虫食いの方がお金になる!?

 ところが、初日に千五百本収穫したところ、三分の一は虫食いで、まともな商品になりません。何とか生協の発注数量をカバーできたのは二日間だけ。担当者に率直に実情を話したところ、「出せるだけ出して」と言われて、胸をなで下ろすことになりました。

 無視できないほどの「虫食いトウモロコシ」。これがまた私たちに多様な販売を教えてくれることになりました。「虫食いは、頭を切ってゆでて売ろう」と全員総出でゆでて対面販売。三本四百円で売ったところ飛ぶように売れて、「虫食いのほうが金になるなー」と冗談も飛び出すほど。

 結局、一ヘクタール作って、まともだったのは半分の約九千本。それでも種代・肥料代・資材代にはなり、「甘くておいしいとみんなに喜ばれ、どうすればいいものがいっぱい穫れるかわかったので、すごくよかった」と、泣いたり笑ったりの希望ある「トウモロコシ騒動」でした。来年はどんな「泣き笑い記」になるのか今から楽しみです。

(佐藤光雄)

(新聞「農民」2001.10.1付)
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2001年10月

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