「農民」記事データベース20011001-510-01

民族主権、平和、飢餓・貧困の解消などで

非同盟運動 国際シンポ開く

 民族主権の尊重、平和、飢餓・貧困の解消をめざして――非同盟運動の四十周年を記念する国際シンポジウムが、九月十五〜十六日、東京・早稲田大学国際会議場で開かれました。


農民連と非同盟諸国が協力して食糧主権の確立を!

 農民連の佐々木健三会長など、三十六人の各界の運動のリーダーや著名人の呼びかけで、日本AALA

(アジア・アフリカ・ラテンアメリカ連帯委員会)が事務局を務めて開かれたもの。非同盟運動についての大規模なシンポジウムが日本で開かれたのは初めてです。

 内外の六氏のパネリストとともに五百人を超える参加者が、民族主権の尊重や平和・核兵器廃絶、世界に広がる飢餓・貧困の解消と食糧主権の尊重、WTO協定の改定などの問題を話し合いました。

 非同盟運動に参加する国々は、WTO加盟国の約八割を占めます。一昨年のシアトル閣僚会議では、アメリカの一方的な宣言の押しつけをストップする大きな役割を発揮しました。

 「グローバル化」を告発

 海外のパネリストは、アメリカと多国籍企業中心の経済グローバル化を厳しく告発。「『グローバル化』と新自由主義が押しつけられて以来、豊かなものは一層豊かになり、貧しいものは一層貧しくなった」と、プエルトリコのフリオ・ムリエンテ・ペレス氏。ベトナムのファン・バン・チュオン氏は、「グローバル化の過程を支配している国際的貿易経済の諸機関と規則が…先進諸国と強大な多国籍企業の利益を守る傾向にある」と警告。インドネシアのラハディ・イスカンダル氏は「巨額の債務返済に予算が使われ、自国民の所得向上に振り向けられない」と述べ、エジプトのモラド・ガレブ氏は「世界の子どもの五分の一が栄養不良であり、世界人口の半数が必要な薬にもこと欠いている」と文書発言を寄せました。

 日本が関わる意義は大

 こうした事態を解決して、新しい国際関係の構築をめざすのが非同盟運動です。これに、発達した資本主義国で、日米安保条約を結ぶ日本が、積極的に関っていくことは画期的な意義があります。

 パネリストの緒方靖夫氏(日本共産党参院議員)は「日本の非同盟諸国首脳会議への加盟は…その活動に新しい幅と広がりをつくる画期となる」と強調。プエルトリコ・ビエケス島の米軍基地撤去のたたかいを進めているペレス氏は「日本の人たちと連帯できるとは思わなかった。沖縄の人たちは、世界で最も重要な同盟者だ」と熱烈なエールを送りました。

 NGOとの連帯重要

 非同盟諸国は来年前半、バングラデシュのダッカで第十三回首脳会議を開きます。これにはNGOの国際会議が準備されており、シンポでも非同盟諸国とNGOが連帯することの重要性が語られました。パネリストの杉江栄一氏(中京大学名誉教授)は「NGOと非同盟諸国政府が連携して大国支配の構図に抵抗していることは特筆すべき」と述べました。

 WTOに立ち向かおう

 フロアーからの積極的な発言が相次ぐなかで、農民連の真嶋良孝国際部長は「WTOドーハ閣僚会議にむけて、食糧主権の確立の課題で団結しよう」と提起。これにはインドネシアのイスカンダル氏が「発展途上国の多くは農業国。飢餓の解消、農業を守るために、協力してWTOに立ち向かおう」と応じ、レセプションでは佐々木健三会長と意見を交わす場面も。緒方靖夫氏も「食糧主権は、日本にとっても、非同盟運動にとっても非常に重要な問題」と述べました。

 またシンポでは、「テロと民族解放のたたかいは違う」(チュオン氏)、「非理性的で恥知らずな攻撃」(ペレス氏)、「法と理性にもとづく解決を」(緒方氏)など、アメリカで起きた同時多発テロを糾弾するとともに、アメリカの軍事報復に反対する意志が、パネリスト、フロアーから示されました。

(新聞「農民」2001.10.1付)
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2001年10月

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