生まれて初めてひえとりを手伝いましたひと夏の達成感を求めて東京・正則高校生の農業体験 in 庄内「山岳部に入っているんです。一週間前は奥穂高へ登ってきました」――小柄な体に大きなリュックを背負い、東京・正則高校の二年生、鈴木雄二郎君が農業体験のため、八月三日山形県庄内にやってきました。とにかく色々な農作業を体験してほしいと、農民センターの青年部員二人で受け入れることにしました。
“初体験”でも笑顔にホッ最初に滞在した我が家では、二人の子どもが「お兄ちゃんが来た」と大喜び。「どうして農業体験してみたいと思ったの?」と質問すると「自然が好きなんです。だから山岳部にも入ったんです」。でも「これまで農作業したことはない」との答えに少し不安でした。体験初日、生協の直売コーナーで「いらっしゃい」「産直トウモロコシですよ」と声をあげ、茄でた「きぼう」を鈴木くんと私、生産者の荻原富美さんの三人で販売。途中、一人で応対してもらい、笑顔で「一袋売れました」と話す姿にホッとしました。 最初は戸惑っていたトウモロコシの収穫作業も、実の茎を切り揃えて作業場へ運び、選別、箱入れ作業と、覚えれば手際よくこなしてくれました。一日の作業を終え「どうだった?」と声をかけると「はい。初めての事ばかりだから」とさすがに疲れた様子。 二日目は田んぼの「ヒエとり」。慣れない鎌を使いヒエを刈り取る作業は辛いようでしたが、仕事を終え「きれいになったね」と雑草がなくなった田を眺めながら二人で話しました。夜は鈴木くんから「農業を始めたきっかけは?」「一番嬉しいことは? 苦労したことは?」「農作業でお父さんから叱られたことは?」「これからどうしてゆきたいですか?」との質問攻めに、私の酔いもさめるほどでした。
慣れない作業も一生懸命に三日目からは長谷川正喜さんの所で「菌床しいたけ」や「だだちゃ豆」「かた瓜」の収穫・出荷作業を手伝いました。だだちゃ豆の選別作業は、脱莱機械でサヤをはずし、ベルトコンベアーを流れる枝豆のうち一粒莱や、虫食い莱を取り除く作業です。「慣れない作業なのでちょっと疲れる」と鈴木くん。仕事する手を休め、長谷川正喜さんのお父さん(純一さん)は「朝六時から仕事を手伝ってもらった。一生懸命手伝ってくれて助かる」と目を細めていました。「山登りの魅力は、頂上まで行った時の達成感です」と語る鈴木くん。まぶしい夏の日差しのもと農作業をする姿に「自然大好き青年が、ひと夏の達成感を求めている。そして、農業体験を通じて、農と食の守り手がまた一人増えた」――そんな気がしました。 (庄内農民センター 菅井巌)
高校生から届いたお礼の手紙この夏一番の体験正則高校二年鈴木雄二郎先日は、お世話になりました。わずか、七日間でしたが、その一日一日が充実し、良い経験になりました。農業体験は、自分にとって、ものすごく意味があったと思います。産直センターでの仕事や稲のヒエ取り、トウモロコシの収穫、だだちゃ豆の収穫など、たくさんの体験をさせてもらいました。 そして、産直センターから送っていただいた、トウモロコシやだだちゃ豆、ありがとうございました。僕の家族のみんなは「おいしい」と言って食べています。近所の方や、おじいちゃん、おばあちゃんにも「おいしい」と言って食べてもらいました。 今回の夏で最も色々な経験をさせていただいた、この農業体験を決して忘れず、また、ご恩も忘れません。ご家族の皆さんにヨロシクお伝え下さい。本当にありがとうございました。
(新聞「農民」2001.9.17付)
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[2001年9月]
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