「農民」記事データベース20010910-507-09

土佐の文旦

“はちきん”さん 夏の奮闘記

“こじゃんとうまい!”文旦飲料水を試作しました

 “はちきん”とは、高知の方言で、快活な女性のことです。すっきりと甘い冬の味覚――文旦は今“はちきん”さんの手によって、ソフトボール大の大きさに育っています。現地から届いた手紙を紹介します。


 こんにちは。私たちは、土佐の“はちきん”文旦班です。私たちは今、ピンポン玉くらいの小さな実と大きな傷がある実を取り除く摘果作業と、とてもとても嫌いな草刈り作業に、毎日汗を流しています。心配された台風十一号の被害もほとんどなく、もう少し雨が降ってくれたらというくらいでした。

 段々畑を草刈機を使って草を追いかけ追いかけ刈る草刈り作業。高温多湿の時期にはすぐに草が成長し、年間四〜五回は行います。除草剤を使えば簡単ですが、安全第一でやっぱり草刈機。たっぷり汗をかいて、ダイエットになるはずなのに、なぜかヤセません??

 今年の猛暑と少雨には、文旦も私たち“はちきん”も、いささか参っています。日中を避けて、早朝と午後の日差しが和らいでから作業に出かけ、かわいい文旦たちの手入れをしています。安全でおいしい文旦を消費者に届けて、「おいしかった」と喜んでくれるコメントが届くことが、何よりの楽しみであり、励みです。

 手塩にかけても、傷などで出荷できないものもあり、これらに何とか付加価値を付けられないものかと作ったのが、文旦飲料水です。

 文旦飲料水は、三月に搾った果汁を夏まで冷凍保存したものです。高知県工業試験場農産加工班の人と三年がかりで研究して、やっとこの味に。重労働も暑さも忘れるくらい、生産者一人一人の思いがこもった「こじゃんと(とっても)うまい!」文旦飲料水ができあがりました。

 新日本婦人の会や全国のお得意様に試飲してもらったところ、たいへん好評で来年はぜひ商品化したいと思っています。

 土佐の“はちきん”は、この夏も、どんなに暑くてもスマイル、根気とやる気、そして愛する父ちゃん、かわいい子どもたちに元気をもらってがんばっています。

(藤田 敏恵)

(新聞「農民」2001.9.10付)
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2001年9月

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