「農民」記事データベース20010910-507-05

ベビーフードから残留農薬を検出

政府 農民連の分析裏付け

関連/井上美代参議院議員に対する厚生労働省の回答(要旨)

 ベビーフードの原料となる冷凍ホウレンソウから残留農薬を検出――これは「ベビーフードから農薬を検出」という農民連食品分析センターのデータが、厚生労働省を動かし、調査を実施させた結果、明らかになったもの。新日本婦人の会が分析センターのデータを重視して厚生労働省に申し入れ、このほど同省から新婦人会長の井上美代参議院議員に回答(別項)がありました。


 厚生労働省の回答によると、和光堂のベビーフード「味覚応援ほうれん草とグリンピース」の原料として現在使っている冷凍ホウレンソウからシペルメトリン〇・一九PPm、フェンバレレート〇・〇五PPmを検出しました。また、製品のベビーフードの残留農薬についても、この冷凍ホウレンソウの農薬が製造工程で濃縮されたものと推定しています。

 そのうえで、厚生労働省は業者に対して、検査体制の強化、製造所、生産地、納入業者などの調査、指導を実施しました。これは、子どもたちの健康を願うお母さんたちや新婦人、農民連の運動が厚生労働省を動かしたもので、大きな意義があります。

 しかし、厚生労働省の「この程度の農薬では健康に影響がない」などという態度は絶対に認められません。赤ちゃんの安全のためには、食べ物に農薬の残留はあってはならないのです。農薬の安全基準にしても乳幼児の場合は、大人の二十分の一以下の基準に厳しくすべきです。

 さらに厚生労働省は、現在も農薬が入っているベビーフードが売られていることを重要視して、業者に対する調査、指導を徹底すべきです。


農民連食品分析センター

石黒昌孝所長の話

 私たちの運動が厚生労働省を動かし、自治体が調査を実施し、原料の農薬の分析を行わせ、製造業者への具体的措置を実施させ、和光堂に対し検査体制の強化や製造所、生産地などの調査を指導させたことは画期的なことです。

 厚生労働省に対して、調査指導の内容を明らかにすることと、さらに徹底した調査を求めるものです。

 残留している農薬は二つとも環境ホルモンであり、微量でも有害です。農薬のないベビーフードをめざすうえでも、事実を明らかにし、世論を盛り上げ、未来を担う子どもたちの健康を守るために頑張りましょう。


井上美代参議院議員に対する厚生労働省の回答(要旨)

 一、和光堂のベビーフード「味覚応援ほうれん草とグリーンピース」は、天野実業(株)(岡山県)に委託、製造したもので、販売数量は五十二万六千六百二十九食分。現在、使用している原料の冷凍ほうれん草一検体から、シペルメトリン〇・一九PPm、フェンバレレート〇・〇五PPmを検出。本製品の農薬残留の原因は、原料に含まれていた農薬が製造工程で濃縮されたものと推定。

 二、製造業者の対応としては、原料のロットごとに二農薬の分析を行い、問題のないことを確認するとともに、新規購入先の安全・信頼性を確保する等の措置を実施する。

 三、今回検出された農薬の濃度で健康に影響があるとは思えないが、ベビーフードは乳幼児が食することから、当該業者に対して検査体制の強化、製造所、生産地、食品納入業者等の調査、指導等を実施する。

(新聞「農民」2001.9.10付)
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2001年9月

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