外米輸入を減らし、値幅制限復活を!“青刈りやめろ”農民連が農水省と交渉
農水省が全中あやつり強行農水省は八月六日、農協中央を抱き込んで稲の子実前刈取り(青刈り)を強行することを決めました。外米輸入と自主米入札の値幅制限撤廃などで米価暴落を野放しにしてきた農水省が、青刈りを強制するのは二重の犯罪です。ところが「生産者団体が主体的にとりくむもの」とシラを切り、「米が余って米価が下がってもいいのか」と開き直る農水省。八月八日に、全国食健連、農民連が行った交渉では、農民の怒りが爆発しました。
輸入弁当許しておきながら「生産現場が困っている時に、それを励ますのが農水省の役割ではないか。それなのに弁当の輸入は許して、青刈りをさせる。これではあべこべじゃないか」と強い口調で詰め寄った佐々木健三・農民連会長。ところが食糧庁計画課の澤岡課長補佐は、「青刈りしなければ去年の米価暴落の二の舞になる」と、自らの悪政と無能を棚に上げて、開き直りました。今年産の米の需給計画は、需要量九百三十万トンに対して、生産量は八百七十万トン。初めから六十万トン不足する計画です。農民には“豊作なき”減産を押し付け、足りない分は消費者に古米や外米を食べさせればいい、そうすれば膨らんだ備蓄米が減って大いに結構というのが、農水省の腹のうちです。
外米こそ減反すべき農水省が“米不足”計画を立てるのは、九八年産から四年連続。それにもかかわらず米価が毎年値下がりしているのは、米価暴落の「真犯人」である外米輸入を“聖域”扱いしているから。六年間で輸入された米は三百四十万トン。今年入ってくる七十七万トンを水田面積に換算すれば約十五万ヘクタール、需給調整水田五万ヘクタールの三倍にもなります。交渉では「青刈りさせる前に、外米を“減反”しろ!」という声が起こりました。 口を開けば「生産者団体が主体となって…」と逃げる農水省。しかし、青刈り(子実前刈取り)を制度として位置づけたのは、昨年九月に農水省が決定した「緊急総合米対策」です。青刈りを決めた作柄部会の八人のメンバーには、農水省の幹部職員(食糧庁、生産局、情報統計部)が三人も入っています。制度を作ったのも、運用するのも農水省そのものです。 豊作を「天下の凶事」とする農水省は、需給調整水田以外の百一万ヘクタールの減反についても、推進プロジェクトチームを作り、幹部職員を未達成県に派遣して、「例年以上に確実な達成に向けた取り組みが重要」と檄を飛ばしています。
農家の気持ちふみにじる農協中央は青刈りの旗振りに必死ですが、ある県の農協中央会と広域合併農協は「全中のやり方はメチャクチャだ。農民連さん、抗議の声をあげてほしい」と言い、「読売」八月七日付には「これから収穫時期を迎える農家の心情からしても『青刈り』は難しい」(新潟県中)という声も。交渉では、千葉県農民連の大木伝一郎委員長が「丹精込めた稲を収穫直前に刈る農家の気持ちを考えたことがあるか」と追及。「値幅制限を撤廃して、米価を下げる仕組みを作ったのは農水省だ」「農水省は、食管制度を守るために、米を自由化しないために、米価を守るためにと言って、農家に減反を押付けてきたが、どれもかなぐり捨てて来た」と、怒りの声が次々と沸き起こりました。
輸入やめ米価安定を農民連は、米価を安定させ、稲作農家を守るために、農水省が、(1)ミニマムアクセスの廃止をWTO協定改定の最大の焦点にし、国際舞台で堂々と主張すること、(2)自主流通米入札の値幅制限を復活させること、(3)青刈りやエサ用処理をやめ、外米やどうしても余る備蓄米は海外援助に回すことを要求します。
宮城日照不足と低温でも青刈り八月十五日、宮城県黒川郡大郷町の山崎地区。三十アールのうち五アールを青刈りした農民は「本当に豊作になるのか。刈りたくなかったが息子が地区の役員で仕方なく刈った」と切実な思いを語っていました。あさひな農協の管内では、「八月二十日に確認に入るから、十九日までに青刈りするように」との通知が各農家に回っています。しかし、大郷町では八月に入って快晴の日はほとんどなく、日照不足と低温で、「作柄がどうなるかわかんないのにおかしいべ」という声が飛び交っています。 (宮城県農民連 千葉勇治)
(新聞「農民」2001.8.20・27付)
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[2001年8月]
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