信州のおばあちゃんと“茶のみ”吉田文子
「六月から七月中旬になると杏がたくさん実るから、ぜひおいで」と、島田斐子(あやこ)おばあちゃん(78)に誘われて、杏の花の美しい景色でも有名な更埴市に行ってきました。 斐子おばあちゃんの家には五本の大きな「平和」という品種の杏の木があり、毎年、食べきれないほど実ります。それを杏ジャム、杏のシロップ煮、紫蘇入り杏(紫蘇巻きがめんどうなので、巻かずに紫蘇をビンの中に入れただけ)などの瓶詰めにして、一年中、お茶うけに楽しむのです。 室温保存でいつでも使え、ビンは何度でも使えますから、ゴミも出ず、とてもすばらしい技術だと思い、季節になったら、瓶詰めを習いたいとお願いしたのです。そこで、今回はこの瓶詰めの作り方について、皆様にも詳しくお知らせしたいと思います。
あんずのシロップ煮・瓶詰め材料(三〇〇mlの保存瓶で約一二本分) あんず・42個(三キロくらい) 砂糖一キロ作り方 (1)まず保存瓶と蓋をお湯で煮て、殺菌する。 (2)鍋に砂糖一キロと水三カップをいれ、沸かして砂糖を溶かし、シロップを作る。 (3)杏は皮がついたまま、包丁で実のくぼみに沿って切り、二つ割りにする。種も使うのでとっておく。 (4)長く煮ると実が崩れてしまうので、さっと湯通しして、表面が鮮やかなオレンジ色になる程度に加熱して、ザルにあげる。(鍋にお湯を沸騰させておき、少しずつ入れては網じゃくしですくい、数回に分けて行う) (5)瓶を熱湯から出し(お湯はそのままにしておく)、湯通しした否を、なるべく隙間がないように箸など使って詰め、種も入れる。(種を入れると保存している間に杏仁の風味が出ておいしくなります) (6)瓶にシロップ(熱いもの)を口までたっぷり注ぎ、蓋をする。いったん閉めたら一センチ程度蓋を緩める。 (7)瓶の肩のあたりまで鍋の湯に漬け、沸騰後五分間、瓶ごと煮。杏の場合、五分以上煮ると、実が柔らかく煮崩れてしまう。 (8)軍手などをしてやけどしないように注意しながら、瓶を取りだし、ぎゅっと強く瓶の口を閉め、逆さまにおいておく。
*食べる時は、蓋のところにスプーンの柄の先などで空気を入れて蓋を開けます。蓋は数回使えますが、歪んで使えなくなったら、蓋だけを買い足すこともできます。 その日、おばあちゃんのところから二十キロもの杏をお土産にもらってきた私は、夕食後、朝の四時までかかって、八十四本の杏の瓶詰を作りました。この杏のシロップで、甘味を付けずに固めた寒天を食べるととてもおいしいです。 いっとき、ちょっと「ずく」(信州の方言で、やる気、根気のあることをいう)出しておけば、そのあと、ずっと楽しめるのです。次は桃や、ブルーベリーだなぁ、と心待ちにしています。
(新聞「農民」2001.8.13付)
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[2001年8月]
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