「農民」記事データベース20010806-504-05

秋田市中央市場

地元野菜と台所つなぐ午後セリが好評


 秋田市中央卸売市場の卸売業者、丸果秋田県青果が五月からスタートさせた「午後競売(セリ)」が話題を呼んでいます。

 早朝の通常のセリに加えて、午後一時にもう一度、セリを行うというもの。午後セリにかけられた野菜は、早いところで三時頃には、市内のスーパーや八百屋の店頭に並びます。店内の朝どり野菜の特設コーナーでは、一割ほど高く売られていますが、ほとんど売れ残りはなく、消費者にも好評です。

 とれたてその日に

 「午後セリ」は、中央卸売市場としては全国で初めての試み。丸果の高橋良治社長は、「とれたての青果物をその日のうちに台所に届ける場として市場をアピールしようと考えた」と理由を語っています。

 秋田県農民連は、昨年から高橋社長と何度か懇談し、新聞「農民」の読者にもなってもらいました。懇談のなかで高橋社長は、「県内産青果物の割合を高めたい」「昨年四月の市場法の改正以来、市場間競争が激しい」と語りました。それで、市場の独自色を出すとともに、地産地消を進める「午後セリ」を始めたと言います。

 市場が自ら集荷

 集荷は、休市の日を除いて、トラックが県内九コースを回り、電話一本で庭先まで来てくれます。運賃も格安。さらに、どんな品目でもよく、個数が半端でも、古いダンボールに入れても構わないので農家は大喜び。自家菜園で残った野菜など、これまで出荷できなかったものが売ってお金になるとあって、専業農家はもとより、兼業も、じいちゃん・ばあちゃん・母ちゃんらも、野菜作りへのチャレンジを始めています。

 農民連もこの午後セリに積極的に参加し“農民連シール”を貼ったダンボールが、市場の中でひときわ目立っています。出荷する農民連会員も、日増しに増えています。

 秋田市の佐藤栄さんは、減反田二十アールに作ったタマネギの売り先に困っていましたが、「丸果に連絡するとすぐに担当者が直行してくれ、『県内産タマネギがやっと見つかった』と言って、全量買い取ってくれることになった」と喜んでいました。

 農家の生産に励み

 六月から出荷を始めた皆瀬村の藤田和男さんは、「このやり方は、農家が一番困っている時に、作ることサ励みになる。秋野菜の作付はまだ間に合うし、来年は減反田に目いっぱい作ろうと思う。まわりの農家にも呼びかけて農民連の支部を結成し、市場出荷の組合を作りたい」と、目を輝かせて語っていました。
(秋田県農民連 佐藤長右衛門)

(新聞「農民」2001.8.6付)
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2001年8月

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