米輸入自由化の国際約束は断じて許せない農民連 外務省副大臣に強く要請米輸入自由化(関税化)の国際約束は許せない――。農民連は、六月十一日、外務省に植竹繁雄副大臣を訪ね、米関税化を国際的に約束する確認書を承認しないよう求める大臣宛の要請書を手渡して申し入れました。佐々木健三会長、谷口一夫副会長をはじめ、秋田、千葉、栃木の農民が参加。日本共産党の赤嶺政賢衆院議員、笠井亮参院議員が同席しました。
アメリカからの輸入圧力は必至「確認書」は、ミニマムアクセスの廃止を含むWTO協定の改定を提起するどころか、米輸入自由化を国際的に宣言するもの。今後、アメリカなどからの関税率引き下げ圧力にさらされることは必至です。外米輸入による米価暴落や減反の拡大に苦しむ農民や、“高くても国産のものを食べたい”という国民の大多数の願いを真っ向から踏みにじる暴挙です。佐々木会長は「農民」号外を示して、「WTO後の六年間で増えたのは輸入と減反だけ。米価の暴落で農民は生きるか死ぬかの状態だ。米の輸入自由化には絶対に反対」と、きっぱり。これに対して植竹副大臣は、官僚作成のメモを見ながら「ミニマムアクセスは国際的な問題で、(拒否すると)国際社会から孤立する」などと、農家の窮状に背を向ける立場を表明。 「非同盟諸国などと手を組んでWTO協定の改定を提起したらどうか」と追及されると、「気持ちは同じだが、私の立場では頭が痛い」と、“逃げ”の態度に終始しました。 米輸入自由化は、九九年四月、自民党政府が国内法の改悪だけで強行。ところが、ウルグアイ、オーストラリアなどから異議が申し立てられ、国際的には今まで保留扱いのままでした。 世界的にますます深刻さを増す食料不足。それなのに四割もの減反を押しつけられている日本の農民。その元凶であるWTOにたいして、世界の農民からも「WTOから農業をはずせ!」の声が湧き起こっています。こうした世界の流れに逆行する自民党政治を変えるチャンスが、七月の参院選挙です。
農村の大崩壊招く事態に要請に参加した佐藤長右衛門・秋田農民連委員長九九年に米関税化を強行された無念を晴らすため、「まだたたかえる」という思いで急きょ要請に参加した。米作り農民として、最後の最後までたたかわなければならないと思っている。今年に入って、五十代前半の認定農業者が借金を苦にして自殺した。米価の暴落によって、農家は今、借金の返済と生活費を捻出するために、生命保険を解約したり、農協を脱退して出資金を充てるなどなりふり構っていられない状況だ。 産業に占める農業、米の比率が高い秋田県では、米の販売代金の落ちこみで、地域経済がボロボロになっている。県は野菜作りを奨励しているが、開発輸入によって野菜価格も暴落。にっちもさっち行もかない。 小泉内閣が進める「構造改革」は農家が農協から借りている借金の返済も迫るだろう。そうなれば、農村はガタガタと音をたてて崩れる大変な事態になりかねない。 要請に対して、副大臣は「みなさんの気持ちはよく分かる」と言っていた。だったらなぜ、WTO協定の改定を国際舞台でも堂々と主張しないのか。米輸入自由化は、参院選の重大な争点だ。日本農業再生を真剣に考える政党を躍進させるために、このことを多くの農民に知らせることが重要だと痛感している。
(新聞「農民」2001.6.25付)
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[2001年6月]
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