生協組合員や産直ネットの熱い思いが結ばれ「新しいお店」がスタート閉店した名古屋めいきん生協の店舗を活用農民連の産直運動にまた、新しい試みが加わりました。この五月末で閉店した名古屋市内にある、めいきん生協(名古屋市勤労者市民生協)の小規模店舗を活用し、そこで働きたい生協組合員が販売を受託する自主的協同組織“ワーカーズ”と、農民連・ふるさと産直東海ネットワークなどが生協の支援を受けて運営し、火曜と金曜日だけ開店する取り組みです。六月十二日開店した「西山・いのこしファーマーズ生鮮市」を取材しました。(冨沢)
地域から要望が高まって旧店舗名は名古屋市名東区にある、猪子石(いのこし)店と西山店。生まれ変わった新しい名称は「いのこしの樹・産直ひろば」と「産直・虹の市場」です。猪子石店は三十年、西山店は二十七年の歴史ある店でしたが、地域環境の変化で生協大型店の谷間に入り経営が厳しくなっていました。しかし、近くには保育園や小学校、団地もあり、組合員や利用者からは「高齢者も多く、買い物が不便になるので無くさないで」と要望が高まっていました。 そこで生協は、存続する方向で議論した結果を踏まえ、昨年末農民連に「この店をワーカーズと農民連など生産者で自由に運営してくれないか。運営のためのコスト負担だけしてくれれば土地建物など、基本的な経費は生協がもつから」と提案があり、農民連はただちに産直東海ネットと協議、新しい試みとして全国ネットの協力も得て受けることにし、五月に試験的に店を開いたうえでこの日を迎えました。
「安心できるもの届けたい」ワーカーズの女性店員たちは、いずれも生協運動を地域で支えてきた人々です。「いのこしの樹」の責任者で生協でユニセフの活動をしてきた猶喜賀陽子(ゆうきかやこ)さんは「昨日から必死でやってきて化粧もしてないんだから写真はだめっ」といいながら、「県営住宅に多いお年寄りのために将来、配食などで地域を守ることができれば…」と夢を語ります。「産直・虹の市場」のワーカーズ、レインボーメイト代表の子安幸子(こやすさちこ)さんは「ここが良くて越してきたのに、一年で閉店なんて…と怒ってたの。お年寄りが泣いて訴えてね。何とかお役に立ちたい、安心できるものを届けたいと思って。話し合う場も作って、楽しんでやろうの精神よ」と話してくれました。
待ちかねた客がドッと…開店時間の十時前に四十人も列をつくった「いのこし店」。西山の「虹の市場」も責任者の開店あいさつ終了と同時に待ちかねた客がどっと入ってきました。静岡産のスーパースイート「きぼう」やホーレン草、レタスの葉物などが二時間ばかりで売り切れ。午後一時までだからとのんびり来たお客さんは「もうないの?」と怒り顔でした。 産直・虹の市場で買い物をした人の感想は「働いていたときは、職場近くのスーパーで買って家に帰ってたけどこれで助かるわ。安くて新鮮でいいですねぇ」とご夫婦で来た大屋美津子さん。「安くて新鮮でいいわ。会計のところにレジがあればもっといいんだけどね」と水谷菊枝さん(60)。 いのこしの樹・産直ひろばでは「近所のスーパーもつぶれて買い物に困ってたの。年とって足が弱ってるので週二回でも開店は嬉しい。でも品数が少なくて早く終わったら困る」と大島君代さん(67)。
「生産者の会」も発足しました当日、農産物を届けたのは愛知のアツミ産直センターと岐阜県連、静岡県連、それに長野県佐久産直センター。さらに生協時代からの納入業者が玉子、魚、豆腐、菓子、またリサイクル品も。二店に来たお客は五百人以上でした。反省会では搬入、品物の並べ方、価格、会計などについての意見や「店なんだから約束の午後一時前に品切れするのは良くない」という意見がアツミ産直センターの高柳義敏さんから出されました。農民連・ふるさと産直東海ネットワークとめいきん生協産消生産者連絡協議会は、この二店を支える統一組織として「生産者の会」を結成し、名倉正雄さんを会長に、吉川利明さんを事務局長に選出しました。
(新聞「農民」2001.6.25付)
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[2001年6月]
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