「すずき産地」の八細工七貧乏北茨城市から 鈴木孝夫
元気を届けるのが百姓の一番の仕事最終回*作っているのは食料だけか?「農村は安らぎと人間性回復の場だ」と言う人がいます。この“真理”を日々の忙しさにまぎれて、忘れてしまってはいけないと思っています。「農業」といえば「厳しい情勢」という言葉がセットでついてきます。おカネのことだけ考えれば本当に大変。でも百姓仕事には、そんなことを笑い飛ばせる楽しさ、わくわくする面白さがあります。 「作る顔が見える食べ物を!」と大見得をきってみても、実際に作物を届けているのは百軒くらいの消費者です。でも、自然をいつくしみ、生命の糧をはぐくむ中から湧き出る元気を届けるのが、百姓の一番の仕事だと気づきました。すると、それを届ける対象は限りなく広がってきます。
*三年で八万五千アクセス越える世の中にカラオケを愛好している人は少なくありません。下手な歌を聴かされる他人の迷惑などお構いなし。誰でも自己を表現したいものなのです。もちろん農家にとって、自己表現の最たるものが農産物です。私にとって自己表現といえるかどうか、インターネットにホームページ「すずき産地」を開いて三年になります。これまでのアクセス数は八万五千。おかげさまで多くの方が訪れてくれます。 内容は雑多で膨大。例えば、日刊「NOCUSる」というコーナーでは、百姓仕事や周囲の自然の風景を写真に撮って毎日載せています。インターネットで紹介しようと思うと、見慣れた風景が新鮮に見えてくるから不思議なものです。
*情報は発信する所に集まる一昨年、JCOが臨界事故を起こした時、刻々変わる放射能の情報は、茨城県のホームページを見なければわかりませんでした。これからの時代は、情報の伝達手段として、インターネットは欠かせなくなるのではないでしょうか。元気を届けるのが百姓の仕事だと粋がって情報発信していると、逆に全国や海外から様々な情報が届いて自分が励まされることもしばしばです。野良で汗を流す現場の面白さも厳しさも大いに発信して、農業の本来の役割を果たしたいと思っています。 連載も今回が最終回です。私の経営や考え方のほんのさわりしか報告できませんでした。本編はインターネットの「すずき産地」でお付き合いください。(「すずき産地」のホームページアドレス、http://suzuki31.page.ne.jp/)
(新聞「農民」2001.6.4付)
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[2001年6月]
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