「農民」記事データベース20010528-494-08

分析センターだより

ナスのヌカ漬けと古クギ


●先日、大阪の産直センターから特産の水ナスで作ったヌカ漬けが届きました。産直品として安心して届けるために安全性を確かめておきたいという依頼です。

 最近ではヌカ床を作っている家庭は少ないと思いますが、昔からナスのヌカ漬けに古クギを入れると色鮮やかになることはよく知られています。色の変化はナス含有の天然色素「ナスニン」の働きによるもの。

 これはイチゴやブドウ、黒豆などに含まれる色素と同じ仲間で、アントシアン色素と呼ばれます。この色素はPHによって色が変わり、例えば赤ワインに酸を入れると赤系に、アルカリを入れると青系になります。また、金属と作用して色が変わる性質もあり、ナスのヌカ漬けに古クギはこの一例。他に梅干し漬けにシソを入れると赤色になる、黒豆を鉄鍋で煮ると色が良くなるのもこの働き。

●さて、ナスはビタミン類が少しとミネラル類が少し含まれる程度で、栄養学的には栄養価の低い野菜として見られてきました。しかし最近、この「ナスニン」が強い抗酸化作用をもち、動脈硬化などを防ぐ働きがあることが判ってきました。他にも免疫を高めたり、ガンを予防する働きも研究されています。

 ナスはビタミン類をほとんど含まないと書きましたが、ヌカ漬けにすることで、ヌカに豊富に含まれているビタミンB1(疲労回復などに働く)を吸収し、栄養価がぐっと高まります。これからの暑い季節に、色よし、味よし、栄養よしのおすすめの一品です。

(新聞「農民」2001.5.28付)
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2001年5月

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