北海道のジャガイモでコロッケ作り大好評「農民連がとりもって、北海道のジャガイモ農家と愛媛の天ぷら店がつながった!」――。愛媛県伊予市、郡中駅前の商店街の入り口にある「からき天ぷら店」。このお店の人気メニューである、北海道倶知安町の農家から直接仕入れたジャガイモで作ったコロッケがすごくおいしいと評判です。
愛媛・伊予「からき天ぷら店」生産者の写真も展示して店の経営者は唐木哲文さん(78)。伊予民主商工会の会長を務め、もう四十年以上も天ぷら店を営む大ベテランです。「(人口三万人の地方都市の)一般市場に届くジャガイモは種類も産地も限られて、品質や価格もバラツキがある。何とかいいものを安定して仕入れられないか」という思いと、価格競争でしのぎを削る大型スーパーに対する危機感から、原料の直接仕入れに踏み切った唐木さん。農民組合愛媛県連に相談を持ちかけ、北海道農民連を紹介してもらい、店を一緒に切り盛りする甥の谷村隆弘さん(43)とさっそく北海道に出かけました。
北海道の農家直接訪問してまだ雪が残る昨年四月中旬、北海道農民連の野呂さんの車で札幌から倶知安へ。夜、五人の生産者が集まって、話を聞いてくれたそうです。店の必要量はおよそ年間十トン。産地からみれば大した数量ではありません。それでも生産者の好意で産直ができることになり、七月に再び産地を訪ねました。期待のジャガイモは、九月中旬に第一便が到着。「倶知安のジャガイモも宣伝して」という生産者との約束で、園地の写真や倶知安の地図を展示してジャガイモの試食会を開催。評判は上々で、生の箱売りを含めて準備した百五十キロは完売。これで勇気を得て、十月末には二度目も。「試食会なんて初めてで、うれしいやらはずかしいやらだった」と谷村さんは振り返ります。
たちまち店の看板商品にその後、店の前に生産者と話し合った時のパネルを張り出して売り出したコロッケ、ジャガイモの天ぷら。直接仕入れることで、味もよく、価格もスーパーより安いとあって、たちまち店の看板商品に。それまで平日で一日二十八〜三十キロしか売れていなかったものが、平日で三十五キロ、土・日曜日には四十キロ以上も売れるようになり、大幅な売上増につながりました。また、この間、今後の見通しを立て、七トン貯蔵できる冷蔵庫を建設。店は、今年四月から谷村さんがバトンタッチし、切り盛りすることになりました。 「まだ産直で仕入れ始めて一年も経っていませんが、これをずっと続けて、『おいしいね』と言われるものを作りたい」と谷村さん。 唐木さんは、「北海道の生産者と産直ができるようになったのは、全商連、農民連という全国組織があったからこそ。中小の商売はどこも苦しいが、こんな時こそいろいろ工夫して元気を出さないといけません」と語っています。 (愛媛農民連 大野政信)
四国で喜ばれうれしい北海道・倶知安 野村広志さんいま北海道倶知安町ではジャガイモの播種の真っ最中。羊蹄山をバックにした畑に次々と種イモが植えられています。倶知安農民組合の野村広志さんも、後継者の息子さん(20)がトラクターで起こした畑に種イモを播いていました。 「ようやく冬越ししたゴボウを掘り終わって、これからイモを播くところだ。唐木さんや谷村さんが何度も足を運んでくれて、私たちのジャガイモを評価してもらって、とても感謝しています。昨年は初めてのことで、やきもきさせたんじゃないかと思っています」 農協ではジャガイモの規格が七つもあり、選別はほとんど農協まかせ。生産者にとっては、収穫してハーベスターから落ちたものを除いて農協に持ち込めば、それで終わり。しかし産直に出すには、生産者自身が一定の作業をしなければなりませんし、荷作りや保管も必要になります。 「実は昨年は、組合員にイモの用意ができたかと聞いたら、もう農協に出しちゃったという人もいて四苦八苦だった」と野村さん。 「でも、自分たちのイモが遠く四国でコロッケに使われて、喜ばれていることは本当にうれしい。“播かぬ種は生えぬ”と言うとおり、こうしたとりくみも最初の一歩が大事。昨年から息子も農業を始めたし、こうした種をいっぱい播き、農業の楽しさも継いでいきたい」と語っていました。 (北海道農民連 野呂光夫)
(新聞「農民」2001.5.28付)
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[2001年5月]
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