「農民」記事データベース20010521-493-09

=安全・品質に責任のもてる労働のルールを=

明乳争議団のアンケートと「食の安全を守る提言」から―(4)―


問われる人権無視の職場環境

 「諸問題を率直に話せるか」というアンケートには、「言えない」(二〇・三%)、「言えるが損をする」(三五・九%)が半数を超えました。技術研修や職場行事などでの差別を恐れて、品質管理に疑問を感じていても、なかなか労働者は声を出せないでいるのです。

 私たちはこのアンケート結果を、厚生労働省、農水省、それから明治乳業広報室、明治乳業労働組合にも持って行きました。しかし明乳広報室はノラリクラリの対応で、私たちの「雪印事件を繰り返さないための調査なので、活かせることは活かしてほしい」という申し入れを拒否しました。労働組合も同様の態度です。食の安全が社会問題になっている今、ほんらい会社や労働組合が率先してとりくむべきことですが、改めて明治乳業の異常な体質が浮き彫りになりました。

 雪印のような事件を二度と起こさないために、企業倫理について二つのことが問われています。一つは、安全なものを提供する社会的責任を負った食品企業としての倫理観です。経済効率を追求すれば、当然、人減らしや手抜きになります。

 もう一つは、働く労働者が人間として尊重されるという問題です。人権が無視され、労組法や労基法が無視されているという異常な企業体質を変えないと、本当にいい製品を作れる環境も生まれません。

 私たちが、会社の不当労働行為を労働委員会に提訴した明治乳業争議は今年で十七年目を迎えています。争議のなかで会社管理職は、会社に協力しない“赤組”、会社に協力的な“白組”、どっちでもない“雑草組”というように労働者を選別して管理してきた実態を証言しました。

 こうしたゆがんだ社風が、安全管理に責任を持たない体質の根底にあります。本当にいい製品を作る企業になろうとするならば、まず不当な労働者管理の仕組みをなくし、争議解決の話し合いの席につくべきです。

 私たちは、早期に中央労働委員会命令をかちとり、今年中に解決をめざしています。みなさんのご支援・ご協力をお願いいたします。

(おわり)

(新聞「農民」2001.5.21付)
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2001年5月

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