「農民」記事データベース20010521-493-06

茨城から福島・熱塩加納村訪れ 学校給食ウォッチング

“地場産”で食教育進める姿に胸熱く


 福島県熱塩加納村の学校給食は、地域ぐるみ、村ぐるみで子どもたちの健康を守ろうと、地場産の農産物を取り入れ、週五日の米飯給食を実施しており、全国的にも注目されています。茨城食健連は茨城でも参考にしたいということから四月十七日、三十八人が「学校給食ウオッチング」のバスツアーに参加し、熱塩加納村を訪れました。

 先生の思いと父母の願いで

 給食の献立は、村で取れた旬の野菜をムダなく食べられるように工夫をこらし、食材の生産者を毎日紹介したり、子どもたちが集めてきたツクシやヨモギ、栗なども使っています。また、子どもたちは食材の下ごしらえを手伝い、学校給食田で無農薬のもち米を作り、田植えから除草、稲刈りまで自分たちでこなし、秋には収穫祭を行うなど、子どもたちが給食に参加できるようにしています。

 地場産の農産物を学校給食に取り入れるようになったのは、先生と父母の願いからです。「成長期の子どもたちが毎日食べる給食には、農薬ができるだけかかってない食材を使いたい」という先生の熱い思いと、「村で作っている“さゆり米”を子どもたちに食べさせたい」という父母の願いが実り、一九八八年県から特例として認められ、翌年五月から政府補助もつき、「さゆり米」による週五日の米飯給食が実現。その後、特例は廃止されましたが、村と農協からの補助を受け、現在も続いています。

 村全体の後押しで実現

 村内産の有機無農薬野菜が八九年七月から学校給食に取り入れられました。毎年四月に保護者を中心に供給者を募り、「まごころ野菜供給者の会」を作り、その会が供給しています。冬場の地元産の野菜が手に入らない場合は、業者からの納入もあり、完全な無農薬野菜でない時もあります。

 熱塩加納村の学校給食が、ものを食べるだけでなく日本型食生活を取り入れ、地域の農業との関係を正確に子どもたちに教えることができるのは、村全体の後押しがあるからです。

 村では「政府の推し進めている認定農家や中核農家を増やすだけでは地域の農業は守れない」と、「兼業でもいい。みんなが農業を営んでいける村づくり」をめざし、米の有機栽培やアイガモ農法を積極的に取り入れるなど、“有機農業の里づくり”に取り組んでいます。

 すばらしいいのちの教育

 参加した武藤きよ子さん(新婦人茨城県本部会長)は「見ると聞くとは大違い。可能な限り村の地場産のものを使っての学校給食を、栄養士さん、調理員さんの情熱と校長先生や村の教育委員会の応援で十年以上も前から実践が積み重ねられ、すばらしい“食教育・いのちの教育”が続けられています。一人ひとりの子どもたちがとても大切に育てられていることに胸が熱くなりました。茨城でも地場産の新鮮な野菜がいっぱいあります。地場産を学校給食に使わせることは子どもへの最大のプレゼントになります」と語っています。
(茨城・県西農民センター 初見安男)

(新聞「農民」2001.5.21付)
ライン

2001年5月

農民運動全国連合会(略称:農民連)
〒173-0025
東京都板橋区熊野町47-11
社医研センター2階
TEL (03)5966-2224

本サイト掲載の記事、写真等の無断転載を禁じます。
Copyright(c)1998-2001, 農民運動全国連合会