農業用建物への課税取り消し求め裁判起こす
埼玉県妻沼町の渋沢萬吉さんは、地元・妻沼町と岩手県西根町に四百頭の肉用牛を飼育する畜産農家。 渋沢さんは、岩手県西根町に所有する土地と畜産施設に百八十万円という法外な固定資産税が課税され、その軽減を求め、昨年五月に埼玉農民連へ加入して、土地について審査申出を行いました。西根町固定資産評価審査委員会では、口頭審理などで町当局の不当な課税方針を厳しく追及。その結果、町審査委員会は当初一平方メートル当たり千四百円だった評価額を五百三十円に大幅に引き下げ、成果をあげることができました。 ところが、土地価格は引き下げられたものの、堆肥舎などには「施設が大規模だから」の理由で年間百五十万円もの課税を押しつけています。一般には国の通達で、農業用建物は課税対象外となっており、渋沢さんは一月、盛岡地方裁判所に「課税処分取消請求」を求める裁判を起こしました。 町がまず行ったのは、二月八日付の西根町工藤勝治町長名での税金の返還。訴訟対象となっている農業用倉庫百七十一平方メートルが五年間にわたり二重課税されていたことが判明し、「謝罪と十数万円の税額の返還」をしてきました。 渋沢さんは「埼玉県妻沼町では同様の畜舎に課税していない。岩手では高額な課税を行い、審査申出によって農地価格は引き下げたものの、畜舎への課税方針は変えず、あげくには二重課税するなど、畜産王国・岩手県がやることはひどい。裁判を通して岩手県と西根町の不当課税を徹底して追及する」と決意しています。 渋沢さんの起こした裁判は、全国でも判例のないものです。勝ちとれば、不当な課税に反対する運動を広げるうえで大きな役割を果たします。渋沢さんとともに全力をあげて頑張ります。 (埼玉県連 松本慎一)
(新聞「農民」2001.5.14付)
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[2001年5月]
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