「農民」記事データベース20010514-492-03

小泉新内閣発足にあたって

二〇〇一年四月二十七日 農民運動全国連合会会長 佐々木健三


 一、四月二十六日、小泉新内閣が発足した。本来、KSDや機密費など汚職・腐敗にまみれ、国民に見放された森内閣は、解散して国民に信を問うべきであり、自民党のコップの中の争いでお茶を濁したことは断じて許されることではない。小泉首相は自民党の中枢にあって、森派会長として悪政を推進してきたことには何の反省もなく、しかも「改革」の内容は、憲法九条の改悪や一層の国民負担増など、より反国民的なものであり、期待は一切もつことができない。

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 一、第一に、小泉氏は自民党新総裁就任時の記者会見で、多数の国民世論に押されて森自公保内閣が発動に踏み切らざるを得なかった暫定セーフガードに対し、「暫定であり長期ではない」と明言したことである。輸入の急増による価格暴落に苦しむ農民や自治体の多くが望んでいることは、一刻も早いセーフガードの本措置への移行と対象品目の拡大である。この声に背を向けたのでは、日本農業の再建も食糧自給率の向上もできないことは明らかである。

 第二に、森内閣が決めた「緊急経済対策」の早急な実施をはかるとしたことである。この「対策」は、ゼネコンや大銀行に、いっそうのリストラ促進とひきかえに、国民の血税を投入して借金を棒引きすることであり、中小企業への銀行融資の強引な打ち切り・回収の強行によって一段と失業・倒産を激増させるだけであり、不況の打開に逆行するものである。

 第三に「構造改革」に異常な執念をもっていることである。その内容は「農業や中小企業など、国際競争に勝てない産業はつぶしてもかまわない」ということである。また、福祉のいっそうの改悪による国民負担増を公言したに等しい。

 さらに重大なことは、自民党三役に憲法九条改悪論者をそろえたことである。

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 一、「改革」を旗印にした小泉内閣が発足しても、自民党政治が国民から見放されて崩壊の過程にあることには何らかわりはない。農民連は、自民党政治を変えたいと願っている圧倒的多数の農民や国民との共同を広げ、国民の食糧と健康、日本農業を守るために全力をつくすものである。同時に、来るべき参院選挙で自民党政治に審判を下すために総力をあげるものである。

(新聞「農民」2001.5.14付)
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2001年5月

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