演劇現代に通じる批判楽しみ前進座 『臍(へそ)曲がり新座』他
前進座は五月に東京・三宅坂の国立劇場で劇団創立七十周年記念公演をおこないます。記念の「口上」をはさんで、藤沢周平作品に初めて挑む「臍(へそ)曲がり新左」と歌舞伎の名作「寺小屋」の三本立てです。 「臍曲がり新左」は、五万石の小藩にすぎない繊月藩を舞台に、お旗奉行の治部新左衛門が、藩主に取り入ろうとする御用商人や側用心たちと対決するという痛快編。中村梅之助がふんする新左衛門は、臍曲がりのため藩中では憎まれ者。戦国の世では武功をたてたものの、今は馬印の旗を虫干しするのが役目という閑職です。 ところが、一人娘が親しくしている軽薄な現代気質の若者が重大な話を持ち込んだことから、新左衛門が「臍曲がり」の本領を発揮、と物語は展開していきます。 脚本の十島英明さんは「いったい何が新左衛門の臍を曲げさせたのだろう。劇化にあたって、それを解明しないことには手のつけようがない。…その原因を私なりに、いや新左と共に突き止めようとしたらこのようなものになった」と言います。現代にも通じる行動力と批判精神は健全、楽しみな作品です。鈴木龍男演出。出演はほかに嵐広也、今村文美、いまむらいづみら。 「寺小屋」は、「菅原伝授手習鑑」全体の頂点となる一幕物。いわゆる「身代り物」の傑作であり、日本の代表的な悲劇としてたえず上演されている人気狂言。前進座では四十四年ぶりになるため、歌舞伎界の超ベテラン・中村又五郎さんの指導を受けています。この舞台では、千代役で山村邦次郎改め七代目瀬川菊之丞の襲名披露がおこなわれます。出演は松王丸に嵐圭史、武部源蔵に中村梅雀、春藤玄蕃に藤川矢之輔ほか。 (鈴木太郎)
*5月5日〜16日。昼・夜2回公演。連絡先=前進座東京営業所・電話0422―49―2811 (新聞「農民」2001.4.30・5.7付)
|
[2001年5月]
農民運動全国連合会(略称:農民連)
本サイト掲載の記事、写真等の無断転載を禁じます。
〒173-0025
東京都板橋区熊野町47-11
社医研センター2階
TEL (03)5966-2224
Copyright(c)1998-2001, 農民運動全国連合会