食物アレルギーには米飯中心の食生活を宮城厚生協会坂病院小児科 角田和彦先生に聞くアレルギー症状の子どもたちが増えています。書店にいくと関係する本が多く出版されています。スギなどの花粉、ダニ、排気ガスのほかに、食物によるものが多く、食物アレルギーについて何冊もの本を書いている宮城県厚生協会、坂総合病院小児科科長の角田和彦先生にお話を伺いました。角田先生はビデオ『あぶない!!あなたの食と健康』にも登場します。
七人の家族全員がアレルギーを「結局、わが家の食生活は、国産の米のご飯とこれも国産の大豆で作ったみそ汁にたっぷりの野菜を入れ、それに納豆・豆腐という、百年前の日本の食生活スタイルに戻りました」。角田先生ご夫妻と、五人のお子さんがアレルギーを持っていて、うち幼かった一人のお子さんをアナフィラキシーという劇症型アレルギーで命を奪われる瀬戸際まで経験したからです。 「妊娠前と妊娠中の食生活スタイルによって、それぞれの子が違うアレルギーなのです。最初から分かっていたら、そんなことにはならなかったのですが本当にかわいそうなことをしましたが、勉強させてもらいました」 宮城県民医連加盟の宮城厚生協会各院所(坂総合病院など)で、アレルギー性疾患を疑って検査したうち小麦アレルギーは十歳の子で四五・五%、七十六歳以上でも二二%で一位。二位は牛乳、三位卵と続きます。
昔からの食事が健康維持の土台「以前は、牛乳、卵、大豆が三大アレルゲン(アレルギーの原因となる物質)だったのです。原因はまだはっきりしないんですが、朝食はパンにバター、牛乳や卵、生野菜のご家庭が増えています。パンの原料の小麦も油も、家畜が食べる飼料の多くも輸入品に頼っています。私はそれに残留する農薬やダイオキシンなどの化学物質が原因ではないかと見ています」と、輸入農産物の危険性に警戒をよびかけました。では、どうしたらいいのでしょうか。 「アトピー性皮膚炎やゼンソクで来る患者さんのアレルギー原因除去に努力し、食べ物に気をつけてもらうと、まず風邪を引かない、セキ、クシャミも出ず、熱を出さないようになり、症状が軽くなります。病気のときでもおかゆが食べられ、野菜のたくさん入ったみそ汁が飲める子は点滴をしなくてもいいことが多いので、日本人が昔からとってきた食生活が健康を維持する土台なんですね」と。
お米は日本人の体に合っている「そのためには自国で自給できるものは自給すること。とくにお米は健康の維持に最適です。坂総合病院ではアレルギーの患者にはご飯を出しています。当病院でもアレルギーが増えていますが、最初に持っていた小麦アレルギーによって同じイネ科の米が誘発される場合もありますが、お米はアレルギーを起こしにくいうえに、最初にアレルギーを起こさなくなります。ほんとうに日本人の体質に合っているんですね」と、長年かかって作って来た日本型食生活がこわされて、小麦や家畜飼料の輸入を押し付けられていることに強い調子で警告。そのうえで、「減反などやめてお米を食べればいいんです。どうしてもというのなら麦も畜産飼料も国産にすればいいんです。それぞれの環境に適した農業と食生活を、戦後のアメリカの小麦戦略で五十年たらずでこわして、農薬や添加物などの化学物質を体内に入れるところに、アレルギー多発の原因の一つがあると思います」 ご自身の痛切な経験と、豊富な医療活動から得た明快な角田先生のお話に、子どもや孫たちがアレルギー症状という形で発している警告に応えるためにも、自国の農業と食文化を守ることがどんなに大切か改めて考えさせられました。 (冨沢)
(新聞「農民」2001.4.30・5.7付)
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[2001年5月]
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