「農民」記事データベース20010423-490-06

=安全・品質に責任のもてる労働のルールを=

明乳争議団のアンケートと「食の安全を守る提言」から―(1)―


 「黄色に変色して力チンカチンに固まった脱脂粉乳に、係長は『使用可』の指示を出した」――牛乳の製造に携わる労働者が、現場の実態を赤裸々に語ったアンケート結果が、三月公表されました。

 アンケートを実施したのは、明治乳業の労働者で、会社の不当な差別とたたかっている明乳争議団と同支援共闘会議。全国十工場、約百二十人の労働者から集められたアンケート結果は、「安全・品質に責任のもてる労働のルールを職場に」という提言とともに小冊子にまとめられています。

 「経済効率を最優先する業界全体の体質では、昨年夏の雪印食中毒事件と同様の事故がいつ起きても不思議ではない」と語る明乳関東争議団長の小関守さん(58)に、アンケートについて話を聞きました。

 三人に二人が品質管理に不安

 アンケート結果で重大だと思ったことの一つは、労働者の三人に二人が品質管理に疑問や不安を感じて働いているということです(「いつも感じる」二〇・三%、「何回かあった」四六・八%)。こんなに多くの労働者が、自分が作っている製品に対して「ひょっとしたらヤバいな」という不安をもって働いているということは、本当に恐ろしいことです。

 これは、たとえば「各種点検・チェックはやられているか」の問いに対して、「チェックしていないに等しい」が四八・四%で、「確実にやる」の三七・五%を上回っていたりするからです。同時に労働者からは「点検する暇がない」「必死になってどうにかやっている。余裕がない」という声が寄せられました。

 加工乳の再利用については「いまでも使用」(二八・一%)、「雪印事件前は使用」(二三・四%)を合わせて五一・五%です。

 「しばしば午前零時を過ぎても前日の日付のまま製造が続けられる」という声も寄せられました。これは、細菌検査の結果が出る二十四時間前には牛乳を販売してはいけないという食品衛生法に違反する行為です。

 なぜ行われるかというと、量販店が前々日の日付のものは受け取らないのに、注文数をギリギリまで確定しないからです。工場は見込み生産をしますから、加工乳は再生乳の問題にもつながってきます。

 私たちは、提言に「加工乳の再利用はしないことを前提に、生産量の事前調整での対応を強めること」「製造工場での二十四時間保管管理の義務化」を掲げています。これによって事故品、クレーム品を製造元でストップできます。

(つづく)

(新聞「農民」2001.4.23付)
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2001年4月

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