「農民」記事データベース20010416-489-10

伝統食は美味しく楽しい

エコ料理

 日本の伝統食を考える会は今年、創立二十周年を迎えます。年々厳しくなる食事情、食環境、生活環境が悪化する中で、二十一世紀の当会の大きなテーマを「食と環境」にして取り組んでいます。二十周年に当たり、数々の記念行事を計画していますが、その第一回として三月二十七日、地球環境に優しい「エコ料理講習会――旬の素材をいつくしんで」が、会発足の地・大阪市(淡路)の女性いきいきセンター(クレオ大阪北)で開かれました。講師は当会おふくろ講師の私(山崎八重)。


 「人は環境を食べて生きている」と言われるように、食は環境と切り離して考えることはできません。伝統食は、もともと風土と環境の中から生まれた「エコ料理」なのですが、最近は家庭ゴミの三分の一以上は厨芥。食べ残しや手つかずで捨てられるものも多く、水質汚染、環境汚染に連なっています。

 講習会では、旬の鰺と大阪(八尾市)の伝統野菜の葉ごぼう(若ごぼうともいう)を大事に使う知恵や工夫と技を学び合いました。

 *鰺のつみれ汁(昆布だしに葉ごほうの茎と根も入れて)
 *鰺の骨せんべい(葉ごほうのかき揚げを添える)
 *葉ごぼうの八幡巻き(茎と根を使って)
 *葉ごぼうのわさびあえ(茎を使って)
 *葉ごぼうの葉の佃煮(だしを取った後の昆布も使って)

の五品を実習しました。

 残り野菜の活用にもよい「ぬかみそ漬け」についても、ぬか床の作り方から手入れ、保存法までレシピ学習しました。

 鰺は、身も中骨も使い、葉ごぼうは露地もので、重油や余計な電気を使わず、素材も環境にやさしく育てられたもの。葉から根まで丸ごと美味しくいただけ、当日は生ゴミもほとんど出ませんでした。

 参加者から「葉も茎も根も、すべてがこんなに美味しく食べられる食材って素晴らしいと思う」「一つの食材から何種類もの料理が出来た。手間さえかければ食生活が豊かになると思った。これからは、今まで捨てていた食材も、もう一度見直したい。お金をかけずにちょっと工夫し、手間をかけることで環境によくなるのですね」「今まで捨てていたもの(部分)も、とても美味しかった…」などの感想が寄せられました。

 エコ料理とはいえ、単に捨てなければよい、丸ごとお腹に入れればよいというのでなく、先人たちが命を支える食べものを非常に大事に上手に料理して美味しく食べて来たように、やはり美味しく楽しくいただける食文化を大切にしたエコ料理をこれからも伝え広めたいと思っています。

(新聞「農民」2001.4.16付)
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2001年4月

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