“遺伝子組み換えノー”賑やかにコーデックス特別会議にあわせて 国内外のNGOがアピール
遺伝子組み換え食品の国際的な安全基準を決める「コーデックス委員会・バイオテクノロジー応用食品特別部会」(*注)が、三月二十五日から二十九日にかけて、千葉県幕張メッセで開催されました。このコーデックス会議と平行して、「遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン」など国内外のNGO(コーデックスNGO行動実行委員会主催)もパレードや集会などの行動を繰り広げ、「遺伝子組み換えNO!」をにぎやかにアピールしました。
世論無視し日本が組み換え推進昨年三月の第一回会合で、日本の政府代表は、国内の反対世論と運動におされてアメリカべったりの推進の立場を離れ、「保留」を表明。不十分ながら遺伝子組み換え食品への表示も決まって、世界の「遺伝子組み換えNO!」という世論に大きく影響を与えました。議長の吉倉廣さん(国立国際医療センター研究所所長・微生物学)の采配も消費者・NGOにも配慮した公正なものでした。一方、遺伝子組み換えを推進するアメリカやバイテク企業は完全に孤立に追い込まれました。しかし今回の第二回では、アメリカを筆頭に推進勢力が大きく巻き返しに出、ある程度それに成功した会議となりました。日本も代表団に強力な推進論者が入ったこともあって、ふたたび「推進派」に転落。国民世論に背を向けた日本政府の姿勢は、前回公平だった議長(前回と同じ吉倉氏)采配にも悪影響を与えました。 今回の大きな焦点の一つは、「追跡可能性」の問題です。遺伝子組み換えがまだ未完成の技術である以上、商品化にあたっては、あらかじめ健康障害が起きた場合を考えて対処しておく「予防原則」の立場に立たなければ、食品としての安全性は守れません。 となると、原因を特定できるように「追跡可能」な状態にしておくことが必要です。具体的には、生産・流通・加工・販売の全段階で遺伝子組み換え食品の流れを記録し、把握しておくことであり、当然、分別流通が求められることになります。 会議ではヨーロッパをはじめ大多数の国々がこの「追跡可能性」に賛成し、各国が具体策をとることを求めました。しかし遺伝子組み換え食品の生産国であるアメリカ、カナダ、オーストラリア、南アフリカの四カ国だけが強硬に反対。結局、「追跡可能性」については合意に達することができず、次回に先送りされました。 しかし、食糧の輸入大国日本にとって「追跡可能性」は、大問題です。まともな検査もないまま未承認の組み換えコーン・スターリンク(食べるとアレルギーを起こす)が輸入されているにもかかわらず、日本政府はこの論議中、沈黙したまま態度を明らかにしませんでした。
組み換え食品が“従来の食品”!?もう一つ、激しい議論になったのは、「安全の確認をするために遺伝子組み換え食品と比較対照する“従来の食品”に、すでに製品化された遺伝子組み換え食品を含めるべきだ」という主張でした。論理上もつじつまの合わないこの主張をしたのはアメリカ、カナダ、イギリス、そして日本政府。消費者の側に立つヨーロッパなどの猛反論が実って、「従来の食品」には遺伝子組み換え食品は含まれないことが明記されました。同特別部会は、アレルギー作業部会の設置や、安全性評価の指針(毒性、栄養など)では合意に達し、第三回特別部会の開催を来年三月に決め、閉会しました。
遺伝子組み換えノー世界行動六百人が議場を囲みパレードコーデックス会議と平行して行われた「NO!遺伝子組み換え食品・世界行動」では、パレードや集会、見学バスツアーなどが連日取り組まれました。コーデックス会議初日の三月二十五日には全国から六百人が集まり、黄色を統一カラーにして議場の周囲をパレード。トウモロコシのお化けや牛の着ぐるみなど、工夫を凝らした思い思いの恰好で、議場に入っていく代表団に対して「遺伝子組み換えでない」ポップコーンを配るなどのアピールを繰り広げました。 二十四日の「止めよう!遺伝子組み換え稲・NGO集会」では、パント末吉さんが即興劇を披露し、会場は爆笑の渦に。NGO行動委員会代表の天笠啓祐さんが講演し、「多国籍企業は私たちの主食である稲の組み換え開発を進めている。アジアの人々と連帯して運動を広げていこう」と訴えました。集会にはウィラポン・ソーパーさん(タイ)、アビゲイル・ヴェルディロさん(フィリピン)、パク・ビュンサンさん(韓国)など、アジアのNGOも参加しました。
*コーデックス委員会 (新聞「農民」2001.4.16付)
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[2001年4月]
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