「農民」記事データベース20010409-488-09

分析センターだより

「野菜の硝酸イオン」って何?


 「野菜の硝酸イオンって何?」という問い合わせがいくつかありましたので、その話を少々。

 硝酸イオンは、口の中で一部は亜硝酸イオンに変化し、アミンと結合して発ガン性物質「ニトロソアミン」になります。血液中では酸素を運ぶヘモグロビンと結合して「ニトロソヘモグロビン」になり、ひどい場合は窒息症状を起こします。

 一九五〇年代、欧米では「ブルーベビー事件」と呼ばれる事件がありました。ホウレンソウの裏ごしを赤ちゃんに与えたところ、顔色がまっ青になり死亡に至ったというものです。

 EUでは、硝酸イオン濃度が二千五百ミリグラム/キログラムを超えてはならないという基準があります。ところが、東京都衛生研究所が、東京市場の野菜を分析したところ、これを超えるものがありました。ちなみに、分析を依頼された房総食料センターの産直ホウレンソウ

(生産者が違う十種類)は、平均でEU基準値の半分以下、最高のものでも基準値以下でした。

 高濃度の硝酸イオンの問題は、化学肥料を多用する栽培で起こりやすいといわれています。窒素を大量に施肥しすぎると、それが代謝されず、高濃度の硝酸塩を含んだままで出荷されてしまうことがあります。窒素は欠かせない肥料成分ですが、適切な施肥、栽培管理が必要です。有機質肥料を用いた栽培では効果的に防ぐことができるという論文もあります。

(新聞「農民」2001.4.9付)
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2001年4月

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