芸予地震農業地帯に深い傷跡広島現地で農民連が被害実態調査「ドーンというもの凄い地響きだった。こんな地震は生まれて初めて」「揺れが激しく立っていられないほどで、食器が割れ、本が飛び出し、テレビが落ちた」三月二十四日に最大震度六弱を記録した芸予地震。被害が最も大きい広島県では家屋の倒壊、瓦の落下、壁のひび割れなどの被害が七十市町村で一万九千件近くも発生。農林水産関連では、十八億円を超える被害が出ています(三月三十一日現在)。農民連は三月二十七日、二十八日の両日、農民連常任委員の坪井貞夫さんを広島県に派遣し、広島県農民連の吉村正登事務局長とともに農業被害の状況を中心に現地調査を行いました。(森吉)
棚田は崩壊石垣で作った棚田が山沿いに広がる河内町では、二十四日に震度六弱、二十六日の余震でも震度五弱と県内でも最大の震度を記録。兼業農家の今田京子さんは「棚田の石垣の石がいたるところで抜け、崩れているところもある。近所の人は棚田の石垣が崩れ、このままでは田植えができないと困っている。田んほが使えるかどうかは水をためてみないとわからない」と言います。
溜池も亀裂二千三十八カ所と県内でもため池の多い東広島市では、市の担当者が「まだ確認中だが、十二カ所のため池で亀裂が発生し、十カ所の農地、農道、用排水路などの土手が崩れたと聞いている。通常ため池などの施設は九割が自治体、残り一割が農家負担となるが、田や畑などの農地の場合は五割が農家負担となる。激甚災害法による指定を受ければ、農家負担が軽減されるのですが」と話していました。
みかん畑も二十七日まで断水が続いていた瀬戸内海に浮かぶみかん産地、大崎下島にある豊町では震度五強を記録。町内で最も被害件数が多い大長地区では、いたるところで家屋の壁にひび割れが発生し、屋根瓦が落ちるなどの被害が見られました。宅地の一部が五センチほど陥没し、玄関の戸が開かなくなったという農民連組合員の山本健一さん(51)の話によると「雨漏りで、初めて被害がわかった家も多い。ほとんどの農家が自宅の被害への対応に追われ、みかん畑は見に行っていないのでは」と言います。海沿いの集落から急峻な山頂にむかって広がるみかん畑では、各所で石垣が崩れていますが、雨による土砂流出を防ぐため、シートで覆った箇所はまだ一部。農地などは、さらに被害が増えることが予想され、二次災害の恐れもあります。震災を機に農業をやめてしまうことがないよう、対策が急がれます。
(新聞「農民」2001.4.9付)
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[2001年4月]
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