「農民」記事データベース20010409-488-01

運動と世論の成果

暫定セーフガード発動へ

本格発動・他品目でも発動を

二〇〇一年三月三十一日農民運動全国連合会が声明


 一、政府は三月三十日、農水・財務・経済産業三閣僚の協議を受け、史上初めて、長ネギ、生シイタケ、畳表(イ草)の暫定セーフガードにむけて動き出しました。政府をつき動かしたのは、農民はもとより広範な国民の力であり、運動と世論の大きな成果です。

 暫定セーフガードは、最大二百日間にわたって関税率を引き上げることができますが、輸入数量の制限はできません。暫定セーフガードに引き続いて、一日も早く一般セーフガードの発動に踏み切ることを強く要求するものです。

 一、暴落による打撃は三品目にとどまりません。政府が調査対象からはずした玉ネギ、トマト、ピーマンを含む野菜、果物、果汁などについてもセーフガードの発動に向けた調査をただちに開始することを強く要求します。また、輸入によって重大な打撃を受けている水産物や木材、繊維製品、靴、仏壇などのセーフガード発動を求めるものです。

 一、農産物価格の暴落が輸入によってもたらされているにもかかわらず、セーフガード発動が遅れたのは、日本政府が発動基準をせばめたうえ、アメリカや韓国などでは当然認められている関係団体の要請で調査を開始できる制度も、専門の調査体制もないなど、世界で最もセーフガード発動を困難にしてきたためです。私たちは、輸入の動向や影響を常時つかみ、国内の農業を守るためにただちにセーフガードを発動できる体制を整備するために、抜本的な改善を政府に強く要求するものです。

 一、WTO協定発足から六年、あらゆる農産物の価格が暴落し、経営を苦にした相次ぐ自殺や農地の荒廃など、日本農業は危機的状況に追い込まれています。農業の衰退は、安全な国産の農産物を求める国民・消費者の願いに逆行し、長引く不況ともあいまって農村地域経済に重大な打撃をあたえています。

 これは、日本政府がWTO協定の忠実な実行者となって、農産物の自由化や価格保障の撤廃など農業破壊政策を進めてきた結果です。また、商社など大企業が日本農業を犠牲にした開発輸入によって暴利をむさぼってきたことも厳しく指摘しなければなりません。

 農民連は、WTO協定発足後、ただちに全国食健連をはじめ各界各層と共同し、政府に対してWTO協定の改定とともに、セーフガードの発動を強く要求してきました。その結果、八割の道府県、半数の市町村がセーフガード発動を求める議決をあげているように、今や圧倒的多数の農民・国民の声に広がっています。

 私たちは、農林水産業に携わるあらゆる団体や自治体、安全な農産物を求める広範な国民と連帯し、セーフガードの発動、WTO協定の抜本的改定を求めて全力をあげるものです。

(新聞「農民」2001.4.9付)
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2001年4月

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