「農民」記事データベース20010402-487-14

日韓の劇団の共同制作公演

「火計り――四百年の肖像」を観て

朝鮮陶工の連行に怒りを覚える


 農民連が韓国の農民団体との交流を行っているなかで、私も韓国への関心を深めており、たまたま日韓の劇団が「火計り――四百年の肖像」を共同制作で公演していることを知り、三月十五日に東京・文京区の三百人劇場で観劇しました。

 劇団は日本の昴と韓国の美醜で、俳優も共同で出演しています。

 四百年前、豊臣秀吉が朝鮮に出兵した時、藩主であった島津義弘によって鹿児島県東市来町美山に連行された朝鮮陶工たちは、義弘の命令で薩摩焼を始めました。朝鮮から持ってきた陶工と釉薬(ゆうやく)、陶工の技術で、火だけが日本のものであったことから、“火ばかり茶碗”と呼ばれ、「火計り」の題名になっています。

 朝鮮陶工の末裔である伊勢和人(22)と薩摩焼の源流である韓国の古い井戸茶碗を再生しようとしている韓国の大学院生・金芙美(26)を中心に物語は展開されていきます。

 日本が戦前、三十六年間にわたり、朝鮮を侵略したことは、今日の教科書の検定問題でマスコミも大きく取り上げ、侵略の事実を覆い隠す策動に怒りを持っていました。連行されてきた朝鮮陶工たちが、日本で焼き物を造ることに悩み、苦しむ場面を観て、四百年前にも日本は朝鮮を侵略していたのかと改めて教えられました。

 「近くて遠い国」と言われている韓国。この劇で、日韓の歴史の一端を学ぶことができました。日韓の国民がお互いに「近い国」の関係を築いていくためにも、あらゆる分野での交流が大切だと痛感しました。

(西村)

(新聞「農民」2001.4.2付)
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2001年4月

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