フーデックスジャパン・二〇〇一ハデな宣伝の裏に開発輸入国際食料・飲料展「フーデックスジャパン・二〇〇一」が千葉県・幕張メッセで開かれ、今年も国内・国外あわせて二千三百社あまりの食品関係企業が、目もくらむばかりに派手な宣伝合戦を繰り広げました。
もともとフーデックスは、外食産業や流通・小売りなど業界向けの商品展示会ですが、年々、消費者を意識した“大試食会イベント”の様相が強まっています。しかし毎年開催されるため、「企業がねらう食のトレンド」はよくわかります。これまでは有機農産物、非遺伝子組み換え食品などが、大きな宣伝文句に取り上げられてきました。 しかし今年はこれといった傾向がありません。狂牛病・口蹄疫の世界的流行が影を落として食肉関係の出展が少なく、大きな面積を占めるヨーロッパ勢もワインとお菓子類ばかりで勢いがありません。日本への農産物輸出を激増させている中国やアジアの国々のスペースも意外と小さく、冷凍野菜・食品企業も少ないものでした。
日本企業の加工食品、冷凍食品が大量に陳列それに比べて圧倒的だったのが、ニチレイ、カトキチ、ニッスイ、日本製粉といった日本企業の加工食品、冷凍食品のすさまじさです。「温めればすぐ食べられる」という加工食品が、家庭用・業務用問わず大量に陳列されていました。原産国表示は、ことごとく「中国産」ばかり。宣伝マンは、「とにかく中国は人件費が安い。いまは価格競争が厳しく、品質を保ちながらいかにコストダウンするかにかかっている」と口をそろえます。また「中国工場の労働者は良く働く若い女性ばかり。二十四時間操業で一日二交替制の十二時間労働、毎日入浴して洗髪しろということまで管理を徹底して、これだけの高品質を実現してきた」と、胸を張った冷凍食品メーカーもいました。 どのメーカーでも米飯類の冷凍・加工食品(ピラフ、炊き込みご飯、おこわなど)が激増しており、いまや加工食品の主流になりそうな勢いです。米飯類を大量陳列していたカトキチの宣伝マンは「米飯類は機械生産なので、今のところ国内生産。人海戦術で生産する中国には向かない。中国米には異物混入も多い。でもこれらの課題が解決されれば、いずれ中国生産になるでしょう」と涼しい顔で言い放っていました。
メーカーは生産過程、材料、産地には触れずしかし、いまもっとも日本の食料・農業を危機にさらしている「開発輸入」の実態は、フーデックスの展示からはほとんどわかりません。どのメーカーも商品はきらびやかに宣伝してあっても、その生産過程、原材料、産地といった情報にはまったく触れていないからです。開発輸入の中心である商社コーナーも、子会社の商品の宣伝はしても、商社の食品事業全体や原材料調達を明らかにするものは一切ありません。これだけの大量宣伝のなかにあっても、開発輸入はもっとも国民の目には触れさせたくない、まさに「隠された本質」との印象を強くしました。 〔A〕
(新聞「農民」2001.4.2付)
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[2001年4月]
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