暫定セーフガード“発動する”と明確に答えよ3・22中央行動 関係三省に強く要請
暫定セーフガード発動を求める農水省交渉では、六十人以上の農民、全労連・全国一般や農協の労働者が参加、ネギだけでなくタマネギやピーマン、トマトなども輸入増による値下がりで「農民は種を蒔くべきかどうか悩んでいる」「早く発動を決断すべきだ」と要求しました。 応対した農水省野菜課担当者らは、セーフガードの発動は(1)集めた証拠の評価が三省で微妙に一致しない、(2)その点を諸外国から文句をつけられないように綿密に調査し証拠を集めている、(3)暫定セーフガードの発動を現時点でやるとかやらないとか言えない、――などと答え、会場から怒りの声が。 要請側は、「農水大臣がすぐできる暫定セーフガード発動に『腹を固めた』といってるのに誰がじゃまをしているのか。農水省か」「調査に乗り出すのが遅れたうえ、この期に及んでまだ調査するというのか」と詰め寄りましたが、ノラリクラリとかわすだけ。 「アメリカなどが裁定で負けることもかまわずに平気でセーフガードを発動しているのに、三省協議は一日おきに開きながら、『よし、日本の農業を守るために発動しよう』という姿勢が農水省には全くない。輸入増でボロ儲けしている連中や外国に遠慮して発動しないようにしているのでは」と感想を語る参加者は、地域に帰って、より一層の運動をする決意を固めていました。
財務省 農民に背向ける答弁に終始財務省との交渉には、農民ら約二十人が、切実な要求を持ち寄って参加。しかし、関税局の担当官は、「明白な損害の立証ができていない」などと、これに背を向けた答弁に終始しました。農民 一キロ四百だったネギが昨年は八十円だ。これが明白な損害でなくて何だ。価格が下がっているということは認めるのか。 財務 価格が下がっているという認識はある。しかしネギの場合、国内の作付面積も増えている。外国から「価格が下がったのは、本当に輸入が原因か」と言われるのはイヤだ。因果関係をもっと明白な形で立証しないと…。 農民 何を言ってるか。あなた方は、イヤで済むかもしれないが、価格が五分の一になったら、農民は作るのをやめる。輸入が急増していることは統計上明らかではないか。 担当官は、いかにも「価格が下がっていることを認めてしまったことが失敗だった」という様子。その後は、「アメリカも、韓国も、農民の訴えによって発動しているではないか」と追及しても、まともに答弁しないで、ノラリクラリとかわすばかり。財務省の「国民の声には耳を貸さない。国民には情報を知らせない」という非民主的な体質が浮き彫りになりました。
経済産業省 追求に“調査中”を繰り返すだけ経済産業省の要請には農民連や食健連、全労連・全国一般東京地本の代表ら約三十人が参加。埼玉農民連の代表らは「ネギを作っているが、輸入の急増で市場に出しても値段が安くてどうにもならない。百姓は次の作付もできない。見殺しにする気か。一日も、早くセーフガードを」と求めました。 担当者は、「三省で調査中で、現在もセーフガードを発動するかどうか判断はしていない」と“調査中”を繰り返すだけ。「調査中という言葉はあきるほど聞いた。調査表が集まってきているんだから、被害を受けていることはわかるではないか」と問い詰められても、「調査中で答えられない。ルールにもとづいて公正にやっていかなければならない」の繰り返し。 これには参加者の怒りが爆発。「農水大臣は三月末に暫定セーフガードの発動も考慮すると言っているが、経済産業省は発動しないように足を引っぱっているのではないか」と追及されても、「当省の大臣はそうは言っていない」と、暫定セーフガードの発動など関係ないという返事。 「救急車は呼んだらすぐに来てくれる。ところが、あなたたちの態度は、緊急な事態でも出動できないというのと同じではないか」「調査中でも暫定セーフガードは発動できるではないか」との追及に対しても、担当者は「具体的なことは申し上げられない」とつっぱねました。
(新聞「農民」2001.4.2付)
|
[2001年4月]
農民運動全国連合会(略称:農民連)
本サイト掲載の記事、写真等の無断転載を禁じます。
〒173-0025
東京都板橋区熊野町47-11
社医研センター2階
TEL (03)5966-2224
Copyright(c)1998-2001, 農民運動全国連合会