「農民」記事データベース20010319-485-09

韓日農民の交流 (4)


韓国の21農業団体が一致団結

 「負債特別法」求め壮絶な闘い

 「施設園芸は、韓国農業の失敗例。経営能力や市場条件を十分検討しないで、政府の支援で無理に規模を増やした」と、韓国・全国農業技術者協会の鄭長燮・前会長。日本の農民にとって脅威となっている韓国の輸出向け巨大ハウス群。しかし、韓国農民もその建設資金の負債で、もがき苦しんでいるというのが実態です。

 韓国・全国農民会総連盟(韓国全農)や全国技術者協会を含む二十一農業団体の共闘組織は、昨年秋から年末にかけて、「農家負債特別法」を求めるものすごい運動を繰り広げました。

 「一〇〇万農民総決起大会」、トラックなどによる高速道路の封鎖、国会議事堂での「断食」など、壮絶なたたかいは、一般市民からも支持され「いい雰囲気になった」(鄭氏)といいます。

 主な要求は、第一に制度資金の金利(五・五%)と相互金融負債の金利(一〇%前後)をそれぞれ三%、五%に引き下げて、猶予期間を延長すること、第二には農産物の価格保障です。

 崔東柱・全国技術者協会事務處長は、「韓国農業の収益率はだいたい三〜五%で、それ以上の金利では元金が返済できない。私たちの要求には正当な理由がある」と言います。また、鄭前会長は「ハウス建設費のうち五割は政府助成、三割を制度資金、二割を市中銀行からの借入でまかなう。

 この市中借入が今の農家の巨額負債になっている」と語っていました。

 政府揺り動かした驚くべき運動

 韓国政府が、九三〜九八年の間に、農漁村の構造改善のために投入した金額は四十二兆ウォン(四兆二千億円)。一方、昨年七月時点の農家負債は総額で約四十兆ウォンになり、ほぼ同額。十一月二十一日に百七十二市郡で同時多発的に開かれた「一〇〇万農民総決起大会」を報じた「東亜日報」(十一月二十四日付)は、「多額の資金が投入されたが、農村の問題が改善されるどころか『農民大乱』というブーメランとなって戻ってきた」と論評しています。

 「朝鮮日報」も同日付で「総決起大会」を報じ、翌日付では「鎮痛な表情の農民たち、『人件費も取れない…』」と題して、各地の農民の窮状を訴える声を紹介しています。

 十一月十七日から十三人が国会議事堂で始めた「断食」は、ニ日目に立ち退きをよぎなくされましたが、その後は農協中央会に場所を移して五日目の十時に終了。こうしたたたかいの末に、十二月二十日、国会で「農家負債軽減特別措置法」が成立しました。

 同法には、農家負債の市中金利の上限を六・五%とし、政府による総額十兆ウォンの利子補給を行うことなどが盛り込まれています。

 韓国全農の鄭光勲議長も技術者協会の姜春成・新会長も「不十分な内容」と言っていましたが、二十一農業団体の共闘組織ができて二カ月間で、政府を揺り動かしたこのたたかいは、日本の農民の目から見れば驚くべきことです。

(二瓶康一)

(新聞「農民」2001.3.19付)
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2001年3月

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