「農民」記事データベース20010319-485-01

成分表と比べても豊富な“ビタミンC”含有量

産直野菜は栄養バツグン

安全性の高さも証明

関連/輸入との“勝負”品質がカギ


 ホウレンソウでは最高5.2倍も

 農民運食品分析センターが、成分分析を依頼された産直野菜を調べたところ、栄養価・安全性ともに、ずば抜けてすぐれていることがわかりました。

 ビタミンCの含有量は、十八年ぶりに最近改訂された「五訂日本食品標準成分表」と比べて、ホウレンソウが四・四〜五・二倍、コマツナが四・二倍、ニンジンが二・九〜三・四倍と抜群です(表)。

 分析したのは、千葉・房総食料センターの野菜。依頼した越川洋一理事長は、「おいしいものを作るために、堆肥を畑に入れるなど,よい土作りに努力している」と語っています。

 同時に分析した残留農薬はいっさい検出されず、安全性も確認されました。

 房総食料センターの野菜は、いま問題になっている硝酸イオンも、かなり少ないという分析結果が出ました。

 硝酸イオンは、口に入ると亜硝酸イオンに変化し、肉や魚などのたん白質の分解物であるアミンと結合してニトロソアミンという発ガン物質を作ります。また、硝酸イオンが血液に入るとヘモグロビンの鉄分を酸化して、酸素を運べなくする害があります。

 東京都衛生研究所が、東京市場の野菜を分析したところ、硝酸イオンをかなり多く含んでいる野菜もありました。

 しかし産直野菜では、コマツナが「標準成分表」の値の四割と低く、その他の野菜もすべて、それ以下でした。例えば、生産者が違う十種類の産直ホウレンソウが含んでいる硝酸イオンの量は、最低はO・O五四グラム、最高はO・二三九グラム、平均でO・一二二グラム(いずれも百グラムあたり)。

 EUの規制値はO・二五グラムですから、平均では半分以下、最高のものでも規制値以下です。

 分析センターの石黒昌孝所長は、「硝酸イオンは、化学肥料を多用すると増えるとされています。有機肥料を主とする産直野菜は少なく安全性が高いといえる」と語っています。


輸入との“勝負”品質がカギ

房総食料センター 越川洋一理事長に聞く

――産直野菜は栄養価が高く、安全だという分析結果が出ましたが――

 消費者のみなさんに喜んで食べてもらい、輸入に負けないためにも品質がカギだと思っています。私たちは「安全性」「新鮮さ」「栄養価」「おいしさ」をポイントに努力しています。

  「安全性」では品目ごとに使用する農薬や回数を決めて記録し、収穫物に農薬が残留しないようにしています。硝酸などもチェックしています。

  「栄養価」ではビタミンCなどを調べています。また、おいしいものを作るために、堆肥センターで堆肥を作って配布したり、有機一理事長に聞く配合飼料を畑に入れるなどして、よい土作りを心がけています。

――分析センターもずいぶん活用していますね。

 科学的に検証することが大切だと思っているからです。総売上額のO・五%の予算を組み、生産物の農薬や硝酸、栄養価などの分析や、実験ほ場で栽培試験を行うなど、品質の向上に全力を上げています。

 分析センターを活用して、どうしたら安全でおいしいものができるか、科学的に研究する――これが今、消費者の期待に応えて、農業を守る大きな力になると思います。

(新聞「農民」2001.3.19付)
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2001年3月

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