「農民」記事データベース20010312-484-10

文芸

雪の音

尾堤輝義


無言電話雪の降る音しんしんと
胎内のやすらぎに似て雪降る夜
雪道を歩けば馬頭観世音
鞘堂の鞘を包める朝の雪
雪明り浴びる榾火の暖かさ
傷ひとつ無き雪の田に踏み込みぬ
泥付の殿様葱を畑で買う
真冬日の空に丸窓ほどの月
地面から炎吹き上げ夜の野火
雪積もる鉄条網の内外に
日当たりに出て日当たりの雪の音
雪積んで他人の家になりにけり

(新聞「農民」2001.3.12付)
ライン

2001年3月

農民運動全国連合会(略称:農民連)
〒173-0025
東京都板橋区熊野町47-11
社医研センター2階
TEL (03)5966-2224

本サイト掲載の記事、写真等の無断転載を禁じます。
Copyright(c)1998-2001, 農民運動全国連合会