日本はなんと先進国で最低体制の強化いそげセーフガード発動 政府与党は
生産者団体の申請権なし、独自機関なし、専任職員ゼロアメリカも韓国もカナダも、セーフガード発動を政府に申し立てる権限が生産者(団体)に保障され、独自の調査機関まで持っているのに、日本はないないづくし――こんな実態が明らかになりました。日本共産党の中林よし子衆院議員が二月二十三日の予算委員会で明らかにしたもの。表は中林議員の質問資料を多少修正したもの。先進国で最低のセーフガード発動体制という情けない実態を浮き彫りにしています。
中林議員「アジア諸国は対日輸出向け野菜を国家プロジェクトとして生産している。セーフガードを発動しなければ、日本から産地がなくなってしまう。三品目以外についても、発動に向けた体制をとるべきだ」 福田官房長官「関係各省が“柔軟”にやっている。組織体制がゼロだから、セーフガードが発動されなかったわけではない」 “柔軟”の中身は、セーフガード担当を兼務する職員の月百五十〜三百時間の“サービス残業”。普通の日本語では、これは“柔軟”どころか、職員に対しては「過酷」、農民や中小業者に対しては「冷酷」というべきです。 しかも法律上、日本では生産者がセーフガード発動を申し立てることはできず、政府が重い腰を上げてはじめて意見を述べることができるだけ。 三品目以外のセーフガード発動のためにも、また輸入急増・価格暴落という緊急事態に対応するためにも(1)生産者(団体)にセーフガードの発動を申し立てる権限を認めること、(2)独自の損害調査機関を作り、専任のスタッフを置くことこそ必要です。 ムダづかいの「機密費」を削れば済む話です。
暫定セーフガード発動も「輸入の激増で自殺者まで出ている。いったい何人自殺すれば、セーフガードを発動するのか」――中林議員は二月二十三日の衆院予算委員会で、居並ぶ大臣に一刻も早いセーフガード発動を迫りました。これに対し、谷津義男農水大臣は、調査がすべて終わる前に「輸入の増加が重大な損害をあたえているという仮の決定にもとづいて『暫定セーフガード』を発動することもやぶさかではない」と答弁。三月末にも具体的な措置をとることを示唆しました。 暫定セーフガードが発動されれば、輸入価格と卸売価格の差額を上限に関税を引き上げることができ、輸入抑制効果を持ちます。 同時に、期間は二百日以内、とりうる措置は関税引き上げだけという限界も。暫定措置は「通常のセーフガード措置に引き継がれていくことが前提」(外務省)であり、通常のセーフガード発動に連動させていくことが求められます。
食健連輸入制限求め中央行動全国食健連は二月二十八日、セーフガード発動を要求して中央行動を行いました。農民連、新婦人、国公労連などの代表が、堀込衆議院農水委員長をはじめ各党を回り、請願の紹介議員になってもらうこと、セーフガード発動に全力をつくすことを要請しました。中林よし子議員に農民連が集めた一万千六百二十六筆の請願署名を託し、懇談したなかで、二十七日の農水委員会の審議ですべての党がセーフガードの発動を求めたことが報告。実際に発動させるため行動を強めることで一致しました。 セーフガード発動要求の意見書採択は千九百五十六自治体を超過。三月議会でさらに増やしましょう。タオル業界が二十六日にセーフガード発動を要請したほか、水産、林業などからも発動を求める声があがっています。調査終了日の三月二十二日には、全国的な中央行動を行います。力を合わせて奮闘しましょう。
(新聞「農民」2001.3.12付)
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[2001年3月]
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