住民のくらしどうなる「市町村合併」問題で自治労連がシンポ
全国自治体労働組合総連合(自治労連)と同北海道東北ブロック・同関東甲越ブロック協議会が主催するシンポジウム「市町村合併で住民のくらしは」が二月十七日、総務省、ジャーナリスト、自治体首長、自治体労働者をシンポジストに埼玉県浦和市で開かれ、約百九十人が参加しました。 コーディネーターの中西啓之・都留文科大学教授は「地方自治の本旨からみて(1)なぜ、国が積極的に合併を推進するのか(2)合併は行財政力・効率を高めるか。逆に住民自治を阻害し、サービス低下させないか(3)自治体は規模が小さいと機能できないのか。(4)住民が合併を求めているか」と問題提起。「おおいに本音で議論して欲しい」とあいさつ。 議論では、総務省市町村合併推進室長の高島茂樹氏が、閣議決定資料を示し、「金融や農業が自由化されて競争原理に直面したいま、五十年前の古いままの地方行政システムを改革し、サービスと税負担などを住民が決め、自治能力を高め効率的にするため」と合併の必要性を強調しました。 日本経済新聞編集委員の矢作弘氏は、「土地利用や福祉、未成年が街づくりに参加する権利を決めている北海道ニセコ町など、小さな自治体でもしっかりやっているところもある。大きい自治体に自治能力があって、小さいとないわけではない。大きいとかえってコストがかかるのではないか」と述べました。 前全国町村会長で、政府に合併を強要しないよう求めている群馬県上野村の黒澤丈夫村長は、その長い経験から「自治体は連帯・協力・団結があってこそ。無理な合併はそれを失わせ自治能力を失わせる。国が財政措置で強要するべきでない。住民の意志を尊重すべきだ」と力説しました。 自治労連の三宅一光副委員長は「三千二百あまりある全国の市町村を二〇〇五年三月までに一千にするとの閣議決定は、財政措置で期限までに合併すればこんなに交付金が入るぞと強要、それを多国籍化した財界が積極的に支援するという。何のため、だれのための合併なのか」と批判しました。 最後に中西氏が「地方で、小さな自治体から『合併を拒否したら財政的なしっぺ返しされるのでは?』と質問を受けるが、『財政は法律にもとづいて運営されている。合併を拒否したからと削減されるとは考えられない』―と答えたが、それでよいか」との質問に、高島氏は「合併に取り組む自治体職員の意識改革が必要。そういう質問が出ることが問題で、合併が進むかどうかの試金石だ」との声高な発言に会場からざわめきが。 中西氏は「実はこの質問は、ある村の議会議長のものだ。自治体合併問題は、高島さんとは別の意味で戦後地方自治の試金石。今後このシンポの成果を活用して欲しい」と結びました。
(新聞「農民」2001.3.5付)
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[2001年3月]
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