「農民」記事データベース20010226-482-06

見せ金 ペナルティ

アメとムチで押しつける「市町村」「農協」合併に反対

関連/前田穣・宮崎県綾町長の呼びかけ人を代表してのあいさつ

 見せ金やペナルティーによる強引な合併でなく、地域に根づいた自治と協同を築こう――「第一回地域に根ざした自治と協同の運動交流集会」が、二月十〜十一日、群馬県伊香保温泉で開かれました。政府・財界主導の「市町村合併」に反対する町村長、非合併農協の組合長らの呼びかけで、農業・農協問題研究所(暉峻衆三所長)が世話役となって開いたもの。十三人の首長・組合長をはじめ、農民、農協職員、研究者など六十人が参加しました。


全国交流集会開く

地域に根ざした自治と協同こそ

各地の首長、農協組合長らが参加

 「合併、非合併を問わず抱えている問題を出し合い、将来に向けて模索していく機会にしたい」と主催者を代表して暉峻氏。群馬県内の非合併農協の、片品村農協・星野傳六組合長、沢田農協・関克弥組合長が、地域農業振興のとりくみを報告し、元全国町村会長の黒沢丈夫・群馬県上野村長が特別講演しました。

 農協中央は農協法の改悪たくらむ

 大合併を推進する農協中央は、金融・共済部門をテコに単協の除名権限を持とうと農協法の改悪をたくらんでいます。

 合併の強引な進め方について、秋田・鷹巣町農協の小塚政悦郎組合長は「七割以上の組合員の意思で合併しないと決めたのに、秋田県は非合併農協を補助対象にしないと圧力をかけ、県連合会は合併しなければ理事にしないと言ってきた」と告発。

 合併で営農指導員減少、メリットなし

 また合併した農協の職員は「合併のスケールメリットはまったくなく、営農指導員は減らされ、金融・共済の営業・渉外人員だけ増やされている」「『合併してよかったのは職員だけ』とよく言われるが、そんなことは全然ない」と発言。一方、非合併農協の職員からは「雇用を守るためには合併しかないんじゃないか」といったジレンマも聞かれました。

 「市町村合併」は、今ある三千三百の市町村を当面千にすることを目標に、自治省を中心に地方交付税や補助金を見せ金にして、すでに三十九都道府県で合併パターン・要綱が作成されています。

 農協が広域合併し、売り先なくて困る

 「百億円の起債残高がある中で、交付税の蛇口が閉められれば村の財政はお手上げ。三十億円の合併特例債は正直言って魅力。せつな的に借金をして合併を待つか、それとも地方自治のあり方をしっかり考えて、苦しくても財政再建の道を歩むか、二つに一つの選択を迫られている」と苦しい胸の内を語る長野県阿智村の岡庭一雄村長。また阿智村の職員からは、農協が広域合併し、売り先がなくて困っている話も。そのうえで、岡庭村長は「徹底した情報公開で住民とともに新しい自治を築きたい」と述べました。

 まとめの全体会で、新潟・広瀬地区農協の山之内伸一郎組合長は「農協の大小ではなく、地域に根ざし農家の役に立つ自主独立の運動が協同組合運動の原点としてもっと追求されるべきだ」と語りました。


前田穣・宮崎県綾町長の呼びかけ人を代表してのあいさつ

 私の町は、農業を軸とした産業の振興なくして町の発展はありえません。県中・全中はさかんに農協の合併を押しつけてきましたが、私は当時、組合長として、組合員の営農と生活を守り、地域農業を確立するためには一行政区一農協だと思い、これをはねのけてきました。これからは、行政と農協が連携して、専業農家だけでなく、お母ちゃん農業も含めて農業にかかわる人が総ぐるみで地域農業を守っていかなければならない時代です。

 いま市町村合併が、国の強いリーダーシップで進められようとしています。しかし私は、それぞれの地方の良さ、個性が発揮される自主自立の地方自治の確立ということなしには、地域農業は確立しないと思います。

 こうした認識を持つ人たちがネットワークを作り、これが本当の地方自治の姿だということを発信していくことが今必要です。この集会を通して、お互いが地域住民のために、農業・農民のために、役割を発揮していく助けになれば幸いです。

(新聞「農民」2001.2.26付)
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2001年2月

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