「農民」記事データベース20001225-475-03

遺伝子組み換え稲

反対署名12万筆を提出

消費者団体が農水省に要請


 遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン(天笠啓祐代表)は十二月五日、農水省を訪れ、全国で取り組んでいる「遺伝子組み換え稲の開発・作付け・輸入・販売に反対する署名」十二万一千六百三十筆(第一次分)を手渡しました。

 農水省は今春以来、多国籍企業のモンサント(米)、アベンティス(仏)、オリノバ(日・英合併)などが開発した遺伝子組み換え稲の一般ほ場への栽培を認可。食用として輸入・販売するため近く厚生省に安全確認の申請も準備するなど商品化をめざす開発競争が激しくなっています。

米価の暴落や輸入などを念頭に開発推進

 この日、日本共産党の中林よし子衆院議員(農水委員)の紹介で署名を手渡した同キャンペーンの代表らは、農林水産技術会議先端産業研究課の吉田岳志課長らに、組み換え稲の開発は、消費者にとっても、生産者にとっても“百害あって一利なし”と、現在農水省が進めている多国籍企業との共同研究による組み換え稲の開発や商業化に強く反対を申し入れました。

 これに対し吉田課長は「こちらで多国籍企業に勝てるものを用意しておかないと支配されてしまう」「日本の稲作をすべて組み換え稲にすることは考えていない。有機農業をやりたい人はやればいい。ただ大規模経営で低コスト稲の栽培ができる品種を用意しておかなくてはいけない」と述べ、米価の暴落や海外からの超低価格米の輸入などを念頭に遺伝子組み換え稲の開発を推進しようという意図を明らかにしました。その一方、消費者の反対を意識し「除草剤耐性稲を、いま開発する状況にない。これからは病害虫耐性稲とかアレルギーの出ない稲の開発を考えていく」と述べました。

スターリンクの混入現在もノーチェック

 キャンペーン代表は、未承認の遺伝子組み換えトウモロコシ「スターリンク」の飼料への大量の混入と防止対策の立ち遅れについて追及しました。

 これに対し畜産局の町田勝弘畜産課長や飼料流通課の吉田稔氏は「指摘は真摯に受け止め、対応している」「現在、日米間で飼料用の船積み前検査について協議中」と答えるだけ。食用についてはすでに輸出前検査に合意しているのに、飼料用は民間ベースの自主検査に任せて野放しにしています。いまも毎日のようにスターリンク入りトウモロコシが輸入されており、これが食用に混入していないという保証はありません。

 さらにアメリカ農務省が全量回収したスターリンクは、米国内の飼料用に回すとされていますが、これが日本などへ輸出されないよう区分流通・保管がどのようにされているかのチェックはされず、このためアメリカでのスターリンクの作付が、全体の〇・四%だというのに農水省が全国の港で行った検査では十五検体中十検体から検出(十月まで)。近く発表する第二次検査でも高い混入率といわれ、アメリカで回収されたスターリンクが日本の飼料用トウモロコシに混入して輸出に回されている可能性も濃くなっています。

(塚平)

(新聞「農民」2000.12.25付)
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2000年12月

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