マクドナルドなどのハンバーガーパンから残留農薬農民連食品分析センターが検出どこの街角にも見られるマクドナルドなどのファーストフード店。店内には、そろいの服を着た店員の明るい「いらっしゃいませ」の声が響き、ハンバーガーをほおばる若ものや子ども連れの姿が絶えません。しかし、そのハンバーガーのパン(バンズ)から、中枢神経を侵し、精子の数を減少させる危険な残留農薬が検出されました。
七検体すべてに有機リン系殺虫剤輸入小麦の危険性指摘農民連食品分析センターが、ファーストフード店のハンバーガーを分析したところ、マクドナルド、ロッテリア、モスバーガー、ウェンディーズ、ケンタッキーフライドチキンのパンから、農薬のマラチオン(商品名・マラソン)がゾロゾロと見つかりました。
残留量は、多いもので〇・〇三〇ppm(ppmは百万分の一)から少ないもので〇・〇〇五ppmと差はありますが、五つの代表的なファーストフード店の、分析したすべてのパンから検出されました。同分析センターは、以前にも学校給食パンから残留農薬を検出しています。 マラチオンは、運搬や貯蔵のために使われる代表的なポストハーベスト(収穫後)農薬です。日本では、ポストハーベストはやられていません。ファーストフード店は、少しでも安い輸入小麦を使い、安全性を二の次、三の次にして、もうけを追求しているのです。
”食べ続ければ視神経を侵す有機リン系の殺虫剤であるマラチオンは、中枢神経を侵す猛毒の農薬です。食べ続ければ視神経を侵されて目が悪くなるなど、とくに未成熟の子どもには有害です。日本体育大学の正木健雄氏は、「子どもたちの視力の低下が懸念されているが、原因はテレビやゲームではなく、目に悪い残留農薬のせいではないか。せめて子どもたちに、安全な国産小麦のパンを食べさせられないか」と語っています。 さらに、マラチオンは環境ホルモンの一種であり、精子の数が減ったり、子どもができなくなる恐れさえあります。農民連食品分析センターの石黒昌孝所長によると、「マラチオンの安全基準は、小麦で八ppm、小麦粉で一・二ppmが決まっているだけで、パンには基準がなく、分析結果だけで違反だとは言えませんが、残留していること自体が大問題です」。
国産小麦使用パン「検出せず」同時に分析した自県産小麦を使用している埼玉学校給食会のパン(「さきたまろーる」)や、埼玉農民連・大里農民センターが地元の小麦粉をパン屋に持ち込んで焼いてもらったパンからは残留農薬が検出されませんでした。国内では、収穫後に農薬をふりかけることはしていないからです。 いま、小麦の自給率は、たったの九%です。小麦を増産し、子どもたちに安全な国産のパンを食べさせる運動を広げましょう。
(新聞「農民」2000.12.25付)
|
[2000年12月]
農民運動全国連合会(略称:農民連)
本サイト掲載の記事、写真等の無断転載を禁じます。
〒173-0025
東京都板橋区熊野町47-11
社医研センター2階
TEL (03)5966-2224
Copyright(c)1998-2000, 農民運動全国連合会