「農民」記事データベース20001225-475-01

マクドナルドなどのハンバーガー

パンから残留農薬

農民連食品分析センターが検出

 どこの街角にも見られるマクドナルドなどのファーストフード店。店内には、そろいの服を着た店員の明るい「いらっしゃいませ」の声が響き、ハンバーガーをほおばる若ものや子ども連れの姿が絶えません。しかし、そのハンバーガーのパン(バンズ)から、中枢神経を侵し、精子の数を減少させる危険な残留農薬が検出されました。


七検体すべてに有機リン系殺虫剤輸入小麦の危険性指摘

 農民連食品分析センターが、ファーストフード店のハンバーガーを分析したところ、マクドナルド、ロッテリア、モスバーガー、ウェンディーズ、ケンタッキーフライドチキンのパンから、農薬のマラチオン(商品名・マラソン)がゾロゾロと見つかりました。

 
パン〔ハンバーガーなど〕の残留農薬分析結果
 
品  名
製造販売者
農薬名
残留量
(ppm)
1
ハンバーガー マクドナルド〔池袋東口店〕
マラチオン
0.026
2
チーズバーガー マクドナルド〔池袋東口店〕
マラチオン
0.030
3
ハンバーガー ロッテリア〔池袋南口店〕
マラチオン
0.005
4
チーズバーガー ロッテリア〔池袋南口店〕
マラチオン
0.007
5
ハンバーガー モスバーガー〔成増店〕
マラチオン
0.029
6
ハンバーガー ウェンディーズ〔成増店〕
マラチオン
0.011
7
ジンガーサンド ケンタッキー〔成増店〕
マラチオン
0.009
8
さきたまろーる 埼玉学校給食
農薬を検出せず
9
地元産小麦パン 埼玉農民連・大里農民センター
農薬を検出せず
10
イギリス食パン 埼玉・入間学校給食
農薬を検出せず
11
フランスパン 埼玉・入間学校給食
農薬を検出せず
12
黒パン 埼玉・入間学校給食
農薬を検出せず
試料入手および分析年月日は、1〜4が2000年11月13日および11月16日、5〜7が2000年11月28日および12月1日。分析年月日は、8が12月4日、9が12月1日、10〜12が11月24日。

 残留量は、多いもので〇・〇三〇ppm(ppmは百万分の一)から少ないもので〇・〇〇五ppmと差はありますが、五つの代表的なファーストフード店の、分析したすべてのパンから検出されました。同分析センターは、以前にも学校給食パンから残留農薬を検出しています。

 マラチオンは、運搬や貯蔵のために使われる代表的なポストハーベスト(収穫後)農薬です。日本では、ポストハーベストはやられていません。ファーストフード店は、少しでも安い輸入小麦を使い、安全性を二の次、三の次にして、もうけを追求しているのです。

”食べ続ければ視神経を侵す

 有機リン系の殺虫剤であるマラチオンは、中枢神経を侵す猛毒の農薬です。食べ続ければ視神経を侵されて目が悪くなるなど、とくに未成熟の子どもには有害です。

 日本体育大学の正木健雄氏は、「子どもたちの視力の低下が懸念されているが、原因はテレビやゲームではなく、目に悪い残留農薬のせいではないか。せめて子どもたちに、安全な国産小麦のパンを食べさせられないか」と語っています。

 さらに、マラチオンは環境ホルモンの一種であり、精子の数が減ったり、子どもができなくなる恐れさえあります。農民連食品分析センターの石黒昌孝所長によると、「マラチオンの安全基準は、小麦で八ppm、小麦粉で一・二ppmが決まっているだけで、パンには基準がなく、分析結果だけで違反だとは言えませんが、残留していること自体が大問題です」。


国産小麦使用パン「検出せず」

 同時に分析した自県産小麦を使用している埼玉学校給食会のパン(「さきたまろーる」)や、埼玉農民連・大里農民センターが地元の小麦粉をパン屋に持ち込んで焼いてもらったパンからは残留農薬が検出されませんでした。国内では、収穫後に農薬をふりかけることはしていないからです。

 いま、小麦の自給率は、たったの九%です。小麦を増産し、子どもたちに安全な国産のパンを食べさせる運動を広げましょう。

(新聞「農民」2000.12.25付)
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2000年12月

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