「森と自然を守る全国集会」から自然・環境・村起こし(2)小林節夫新潟 棚田フットワークの取り組み
『山村の再生』分科会では山村の再生とか暮らしや地場産業など、地域の地道な活動が報告されましたが、新潟県下の棚田地域の取り組みを紹介します。
過疎化、高齢化などによって耕作放棄地が増え、地域の暮らしそのものが成り立たなくなるなかで、自分たちのできることからと、圃場整備関係の県職員の人が中心になって、松之山町と枯木又(十日町市の東端)で棚田の体験・支援の運動が広がりました。これは、多くの人に棚田の現状を知ってもらい、棚田ブームを定着させたい、という人たちが企画し、参加したのは、棚田を訪ねたい人、農作業を“体験したい”人々、新たなふれあいを願っている人たちです。
農作業体験から“支援”に変化松之山町では昨年は延べ百五十人の人たちが、代かきから稲刈り、精米までいろいろな作業を手伝い、収穫祭まで行いました。今年は受け入れる方も、一人一人に見合った作業を用意し、延べ二百五十人の人々が参加して、農作業体験から“支援”に変わりました。枯木又でも東京隊が参加し、昨年はいろり端会議(五回)、米作りを体験、今年は田植え、田の草とり(無農薬栽培)、ホタルまつり、夜なべ談義、黒米の稲刈りなどに百五十人を超える人が参加しました。
都市から安らぎ、感動求めて棚田地域の人たちの変化――都市の人たちをお客様としてでなく仲間?として受け入れるようになり始め、肩の力が抜けてきたとか、これまで田んぼに入らなかった地元の人々が、交流を契機に農作業を始めだしました。都市からは、新しい人たちの参加が増え、棚田地域に安らぎを感じ、自分で育てたはざかけ米を食べて感動したり、第二のふるさとと思う人が出てきたといいます。 今後の課題として、地域間の情報交換、棚田と都市の情報交換・発信が必要だとか、休耕田を使って自然観察の公園作り、棚田コンサート、棚田米を使った酒づくりなど、魅力ある企画を実現して、参加者の定着を図るなど、今後の抱負もなかなかのものです。
この分科会で、棚田フットワークの取り組みについて、「それがどうした?…松之山町の人口が増えたのか。どれだけ経済的指標が前進したのか」という否定的な質問が出されて気まずい空気が流れ、町の課長さんが詰まったりする光景が見られました。でも、善意にとればこれは「ケチをつけた」のではなく、実際に過疎と高齢化で村がさびれゆく事態を真剣に悩む人としては無理もない発言だと思われました。 (つづく)
(新聞「農民」2000.12.11付)
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[2000年12月]
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