「農民」記事データベース20001211-474-06

東京 労組が「セーフガード」要請

“農家の切実さ、肌で感じた”


 「自分たちが食べる安全な食料を安定的に確保したい。そのために農林水産業の発展を」――いま東京のど真ん中で、急増する輸入農産物に対してセーフガード(緊急輸入制限)の発動を求める運動が、労働者らによってとりくまれています。きっかけは、生産者との心の交流でした。

 全労連・全国一般東京地本中部地区協議会は十一月二十二日、千代田区春闘共闘委員会とともに千代田区議会議長と各会派に、国に対してセーフガード発動などを求める意見書をあげるよう要請。二十九日には、中央区議会に同様の申入れを行いました。

 「交流を通じて産地の実状を知り、とにかく何かしたいと思った。生産者と消費者の思いは同じ。東京のど真ん中で、全国にさきがけて行動を起こす意味は大きいと思う」。こう述べるのは、全国一般労組の梶哲宏・中部地区協副議長。梶さんら中部地区協の労働者四十三人は、十月十五日、茨城県西農民センターを訪ねました。連帯集会は、農民センターの会議室で、輸入増加による農業破壊の実態を聞くとともに、労働者が「規制緩和」などによる各職場の実態やたたかいを述べました。鬼怒川の川原に会場を移しての交流会では、地元の素材による鉄板焼きや豚汁などを囲みさらに交流。参加者は「農政のゆがみや『何が問題なのか』が分かった」「現地に行って直接見聞きしたので農業を肌で感じる」などの感想を述べていました。

 「農家の切実な思いが伝わってきた。自ら作った野菜をトラクターで潰している、経営難で六人も自殺者が出ているという話は本当にショックだった」と、潮田茂夫・中部地区協事務局長。こうした共感を土台とした要請で、千代田区議会議長の石渡伸幸氏は「海外援助ばかりではダメ。自国民を助けないと」と、要請の内容を各会派に計ることを約束し、意見書採択に前向きな回答をしました。

 「都会の消費者は、食品の安全性に非常に関心をもっている」と、千代田区春闘共闘委員会の加藤哲夫議長。急増する輸入農産物の問題は、農家だけの問題ではないといいます。

 全労連・全国一般はいま、労働者の「最低賃金の保障」を柱に国民生活の三つの最低保障(最低賃金の他に、最低年金、課税限度額)の確立を求めてたたかっています。「最低賃金の保障」は農民で言えば「再生産可能な農産物の価格保障」。この実現のために全国一般労組は「国民的な大運動を緊急に起こしていこう」と呼びかけています。

(新聞「農民」2000.12.11付)
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2000年12月

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