食健連・農民連が農水省交渉セーフガード発動急げ「厳しい発動条件」つけるな
食健連、農民連の代表は十一月二十七日、セーフガードの発動や自主米の値幅制限復活など国民の食糧と地域農業を守る緊急対策を求め、農水省担当者と交渉しました。 農民連の運動が大きな世論を作り上げ、農水大臣も重い腰をあげて同月二十四日、大蔵・通産両相にセーフガード(緊急輸入制限)発動のための調査を要請しましたが、交渉の中で農水省は「セーフガード検討開始暫定基準」(要旨別項)を設け、発動条件を厳しくしていることが明らかになりました。参加者は「発動させないための調査をしているのではないか」と追及、早急に発動するよう要求しました。 衆院第一議員会館で行われた交渉には全国各地から約六十人が参加。 代表 輸入農産物が急増している中で、農水大臣が大蔵・通産相に要請したことは前進だ。 農水省 ネギ、タマネギ、トマト、ピーマン、生シイタケ、イ草の六品目を要請した。 代表 韓国などでは個別品目でなく、「乳製品」などとして包括的にセーフガードを発動している。個別品目にしたのはなぜか。WTO農業協定ではどうなっているのか。 農水省 WTO協定には特段の規定はないが、農水省が作った内規にもとづくものだ。 代表 それを出して欲しい。(鋭い追及で担当者が席をはずし、「セーフガード検討開始暫定基準」を持ってきて代表に渡す) 代表 「暫定基準」には、輸入の増加率が二〇%以上であることと数字をあげている。出荷が数%増えただけでも価格が暴落するのに、なぜ二〇%以上などと厳しい条件をつけたのか。 農水省 協定では何の条件もつけていない。大蔵、通産を説得するために基準を作った。 代表 いつ作ったのか。 農水省 先週だ。 代表 われわれは前から要求してきたが、いつも「調査中」と言っていたではないか。先週、調査の基準を作ったなどと言うが、今まで何をしていたのだ。そんな基準は必要ない。農民は輸入激増で価格が暴落し、苦しんでいる。農民の経営と生活を守るために条件をつけず、すぐ発動するよう要求する。
「米価の暴落は在庫増」と強弁ミニマムアクセス米が五年間で三百万トンも輸入され、自主米の値幅制限も撤廃されたために生産者米価が暴落。一俵(六十キロ)当たり六千円も下がり、生産費もまかなえず再生産もできない事態に農民は追いこまれています。農水省担当者は、外米輸入が米価を下げていることを認めず、「在庫が余っているのが最大の要因」といい、「緊急総合米対策で稲作経営を安定させている」と答えました。また、日本は自給率で世界の何番目かを問われ、すぐに返事できず、調べたうえで「九八年現在世界百七十八カ国中で百三十六番目」と回答するなど、日本の農業や農民の置かれている実態をつかんでいないことに驚きの声をあげる参加者も。 代表は「米価が三割も下がった。あなたがたの給料が三割も減ったらどうする。本気になって農民の立場にたって仕事をしてほしい」と要望しました。
(別項)
食健連全国代表者会議を開く食健連の全国代表者会議が十一月二十七日、衆院議員会館で開かれ、十九団体から五十三人が参加しました。参加者は、秋のグリーンウエーブ行動や十周年記念のシンポ、大収穫祭、農水省交渉などでの成果を土台にして、食健連の運動と組織を大きくしていこうと、今後の奮闘を誓いあいました。 食健連の坂口事務局長が今年の総会以後の活動を紹介、とくにセーフガード発動を求める要請や国民の食糧と地域農業を守る署名行動に取り組みが大きな影響を与え、発動のための調査を行うという事態も生み出している状況を強調。二十一世紀を展望し、地域や職場の隅々から対話や学習、宣伝を大いに行い、要求実現をめざす行動に全力をあげようと呼びかけました。 会議では、食健連が集めたセーフガード発動を求める請願署名(約二千六百人)と国民署名(約二万人)を日本共産党の中林よし子衆議院議員に渡しました。
(新聞「農民」2000.12.11付)
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[2000年12月]
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