「農民」記事データベース20001211-474-01

結成10周年迎えた全国食健連

21世紀に向け多彩な行動さらに

記念シンポジウム・大収穫祭開く

 結成十周年を迎えた「国民の食糧と健康を守る運動全国連絡会」(全国食健連)は十一月二十六日にシンポジウムと大収穫祭・全国自慢市を開催、翌二十七日には農水省などとの交渉に続いて全国代表者会議を開き、二十一世紀に向け、食と農業、環境を守る運動をいっそう発展させようと多彩な行動を繰り広げました。食健連は一九九〇年三月二十六日に結成され、労働者、農民、消費者・国民、流通・加工業者などの「食糧と健康を守りたい」という切実な要求にもとづいて、共同を広げ、現在四十二都道府県と五十地域に約三百三十万人の大きな組織になっています。十周年記念の取り組みは、新しい世紀への出発点となりました。


シンポジウム

食と農・環境守ろう

73団体参加、活発な討論

 東京・台東区民会館で開かれたシンポジウム「食と農業、環境を守る21世紀へ」には、七十三団体から百六十六人が参加しました。

 パネリストは佐藤長右衛門さん(秋田県農民連委員長)、加藤善正さん(いわて生協理事長)、佐藤圭さん(東京農業大学学生)、北村真一さん(滋賀県・鮒寿司喜多品老舗店主)、坂口正明さん(全国食健連事務局長)の五人。

 「農業高校卒業後、十八歳から今日まで三十八年間、米作り一本でやってきた。三十年前から減反が行われた。振り返って見ると、私の農業人生は減反の人生だ」と述べた佐藤長右衛門さん。佐藤さんは、WTO協定締結後五年間に急増した外米・野菜輸入の実態を明らかにし、「増えたのは輸入農産物と減反面積だ」と指摘。佐藤さんの住んでいる米作中心の十文字町では、米の販売額が五年前に比べ四十億円から二十四億円と十六億円も減っていることを紹介。

 また、日本有数の米主産地で国道沿いに「この土地売ります」という看板が目立つようになり、耕作放棄地も多くなっている状況を報告。こうした事態を打開するために秋田県内では、農業を守ろうという町ぐるみの運動を展開している経験も語りました。

 佐藤さんは「このままいったら、日本国民の食糧はどうなるのか。農村の自然や環境はどうなるのか。これまで歴史を支えてきた文化を育み、食料生産を支えてきたかけがえのない村社会をズタズタにされてたまるかという思いで、大いに米を作り、消費者、流通・加工業者、小売業者と共同してこの難局を切り開き、二十一世紀への展望につなげていきたい」と決意を表明しました。

 二十一世紀をになう若者の佐藤圭さんは「青年も農業に関心を持っている。現状を知らせ、体験をすれば魅力もわかり、農業を守ろうという青年は増えていく」と語りました。

 加藤さんは米輸入自由化に反対する生協が九四年に懇談会を結成して以来の活動や遺伝子組み換え食品反対の国際交流を紹介しながら、アジアの農民や消費者などと交流し、食の安全を守る連帯を呼びかけました。

 北村さんは琵琶湖が汚染され、養殖もままならず漁業者も困難になっている現状を指摘、「板前としては、健康で丈夫になってもらうためにも地域でとれた旬を材料に調理している」と伝統食列車にかかわっている経験にもふれながら、食の大切さを強調しました。

 討論では、労働者をはじめ農民、女性らが食健連運動に取り組んでいる経験などについて発言。コーディネーターの上山興士さん(全税関労組委員長)は「食健連運動は世界に例のない運動。夢とロマンを持って二十一世紀も頑張ろう」と呼びかけました。


大収穫祭

全国の自慢品ずらり

なごやかに懇談、交流

 「大収穫祭・全国自慢市」が開かれた台東区民会館。船橋産野菜の宝船を中心に、三十都道府県四十五組織から八十品目以上の自慢の農産物や酒・料理が会場にずらりと並び、三百人を超える参加者がそれらを横目でにらみながら開会を待ちます。

 高田公子新婦人副会長、学者研究者を代表して井野隆一氏、初代食健連事務局長の小池信太郎元全農林東京地本委員長、中林よし子衆議院議員らのあいさつのあと、小林節夫農民連代表常任委員の乾杯の音頭で収穫祭は始まりました。

 会場になつかしい餅を焼く匂いを漂わせるのは長野県の「白毛餅」。北海道からはエゾシカの肉。「エッ、捕ってもいいの?」「いや、飼ってる奴」。フウフウいいなから食べる群馬のキノコ汁。「茨城のレンコンおいしい?」「うん」「穴が空いて向こうが見えるから、二十一世紀明るいよ」。

 落花生、豆の煮物、ハム、ソーセージ、手作りパン。各地の酒、ワイン、焼酎。リンゴにミカン、柿にトマトに沖縄のパイン、紙面ではとても書ききれません。

 食べたり食べさせたり、参加者はお皿とハシをもって各県の店を回り、味見しながら会話が弾み、交流の笑い声のなか、ごちそうは胃袋へ、野菜や花は買い物袋に収まっていきました。

 会場には東京労連参加の東京靴工組合から、かわいいミニランドセルが。同足立区本部執行委員長の大房貞雄さんは、「子どもさんが使ったランドセルを、普通のと同じ約六十工程で手のひらサイズに再生します。成人式や結婚式の送りものにされたらいかがですか。テレビでも放映されましたよ」と話してくれました。

◆連絡先電話フリーダイヤル 〇一二〇―二八八―九三〇(月〜金十時〜四時)
◆価格ケース入り一万四千五百円。

(新聞「農民」2000.12.11付)
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2000年12月

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