「農民」記事データベース20001204-473-03

11・17中央総行動

値幅制限復活など求め農民連が農水省交渉

関連/食の安全守れ


 全労連と国民春闘共闘は十一月十七日、「許すな!リストラ・不払い残業、働くものに安心できる仕事とくらしを」というスローガンを掲げて“11・17中央総行動”を東京・霞が関を中心に展開、全国から八千人が参加。この行動には農民連も参加、農水省では、野菜・果実の価格保障の充実やセーフガード発動を求めて交渉しました。

「精査している」の繰り返し

 激増する輸入野菜など農畜産物のセーフガード(緊急輸入制限)を発動し、日本の農業を守る要請行動には、北海道から愛媛まで農民連の代表約三十人が参加。農水省からは経済局、農産園芸局、食糧庁などの担当者が応対。日本共産党の中林よし子衆院議員が同席しました。

 農民連 輸入による損害を調査をしているというが、五年前と同じ返事ではないか。何を調査しているのか。

 農水省 トマト、タマネギ、生しいたけを調べている。生産量、生産高、総量、雇用者数などについて県や農政局に調査依頼している。

 農民連 調査結果はきているのか。

 農水省 精査している。

 農民連 輸入が増え、価格が暴落しているのは、市場のデータを見ればわかるではないか。

 農水省 下がっているものもある。発動できるか判断するための調査をしている。

 農民連 輸入ものには手をつけず、国内のキャベツやタマネギを廃棄処分させている。野菜をつぶさせ、農家を犠牲にする調査はすぐにできるのに、なぜセーフガードの発動調査はできないのか。

 農水省 精査している。

 農民連 アメリカや韓国では発動しているのに、なぜ農水省はできないのか。

 農水省 アメリカ(五百人)や韓国(三十人)は独自の調査機関をもっている。農水省は通常の業務の中で班長ら三人が担当している。大蔵や通産に説明するための資料を整理している。

 農民連 いつ目途がつくのか。

 農水省 精査している。わからない。

 中林衆院議員は、「アメリカや韓国では独自の調査機関が日常的に調査をし、発動する。日本では大蔵・通産を納得させないと発動できない。韓国ではニンニクを暫定セーフガードにして発動した。農水省もやろうとすればできる。農家の人たちの立場に立ってほしい」と要望しました。

値幅制限の復活を

 交渉では、自主流通米の値幅制限を復活させ、ミニマムアクセス米の輸入を削減するよう要求しました。

 農水省担当者は「自主流通米は買い手が買わないのでは売れない。だから値幅制限を撤廃した。復活は検討していない」という返事。これに対して、富山県農民連の小林定雄さんは「生産者米価が暴落し、反当たり四万円だ。一町歩では年間四十万円にしかならない。これでは生活できない。三町歩を作っている農民は息子に税金を払ってもらいたいと頼んだら『もう農業をやめたら』と言われ、来年はやめるといっている。現地にきて農民の実態を知ってほしい」と述べ、値幅制限の復活を要求しました。

果物・野菜などの価格安定対策を

 同日、みかんなどの果樹経営安定対策について農水省の担当者から説明を受け交渉しました。

 (1)政府の責任で野菜、果実などの農産物価格の暴落に対する必要なあらゆる措置をとること(2)新たな経営安定対策――価格補填制度に「中晩柑」を加えること(3)学校給食への果汁、生果の拡大をはかること(4)沖縄、離島、遠隔地の流通経費を補助すること、などについて要求しました。


食の安全守れ

「雪印シンポ」実行委 厚生省に対し要請

 乳業メーカーの労働者や消費者、生産者らが共同で開いた「10・7雪印シンポ」実行委員会事務局二十四団体が十一月十七日、厚生省に対し「再発を防ぐ抜本的対策と、食料の安全・農業を守る」ことを第一にした食品行政を実施する要請をしました。

 厚生省は、「食品の安全は企業自らが衛生管理のプログラムを出し、それを厚生省がHACCPで認証するもの。個々人が各部門で責任を負うという、契約社会のアメリカなどと同じもの」だが、「それが不明確だった。以後厳しくチェックする」と、HACCPの問題点を問わず語りに明らかにしました。

 乳業メーカー労働者は、「激しいシェア争いで利益・経済効率第一の企業が自主的に安全管理できる実態にないからこの事件は起きた。人減らしで、おろそかになる装置の掃除に、生産現場の労働者が意見を言うと差別される。一方では保健所も食品衛生監視員も減らされ、行政のチェック体制が弱い」と追及。加工乳の再利用問題では、チェック体制の甘さを指摘しました。

 要請団は、安全を確保するため、作業システムと労働条件、危機管理体制の確立など、企業に対する指導強化を求めました。

(新聞「農民」2000.12.4付)
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2000年12月

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