農民連・ふるさとの味 米/野菜/漬物…お米屋さんの大収穫祭東京・太田 米穀小売商組合に「ほくほくネット」が協賛「餅つきしたり、おそば打ったり、田舎に帰って来たみたい。また、やって欲しいわ」(七十歳代の主婦)「農家が来てくれると、この人たちが作っているんだと実感できる。イベントは子どもたちも喜ぶし、楽しいですね」(子連れの二十歳代の主婦)――東京・大田区の六郷米穀小売商組合(竹内信行組合長、十四米店)の主催した大収穫祭が十一月十九日に行われました。農民連・東北・北海道産直ネットワーク(略称・ほくほくネット)が協賛し、初めて開かれたもので、予想を超える千三百人以上の消費者が訪れ大盛況でした。
外米輸入による米価の暴落で農民や米卸、小売商が深刻な状況の中で、「ほくほくネット」はその打開をめざして首都圏の米卸業者と小売店との交流を重視して、消費者に安心、安全なお米を届けようと組織的に取り組み、昨年は「準産直米」として出荷している西東京米研のお米屋さんとイベントを行い、反響を呼びました。この影響が広がり、六郷米穀小売商組合との大収穫祭の話が持ちこまれ、何回も話し合いをしてきた結果、開催されたもの。 会場となった川田米店。道路には「ふるさとの味と心を伝えたい、農民連のお米・農産物」の旗が立ち並び、店の前には「ほくほくネット」のお米をはじめ、ダイコン、ネギ、トマト、キュウリ、レンコン、ゴボウ、漬物、醤油、ナタネ油、梅干など新鮮な野菜や加工品が並べられました。 福島で朝搾ったばかりの牛乳を沸かした試飲会では「こんなにおいしいとは」とびっくりする消費者。
主催者もびっくり開会前の午前十時三十分頃からお客さんが訪れはじめ、身動きできないほどの盛況。野菜などは一時間半で完売し、「(五キロのお米が)四十袋売れるかどうか」と思っていたのが七十三袋も売れたので主催者側もびっくり。店の裏側では、山形・田川農民センターが中心になって餅をつき、福島県会津農民連のそば打ち名人・鈴木和意さんが鮮やかな手さばきでそば作り。消費者も熱心に見学、そばを「おいしい。おいしい」とお代わりする人が何人もいました。 塚越悦子さん(塚越米店)は「とっても楽しかった。米屋を見直してもらえたと思う」と言い、川田和代さん(川田米店)は「すごく不安だった。スーパーもしょっちゅう朝市なんかを開いていて、珍しくないんで。でも意外や意外、お客さんもたくさん来てくれて、お米も思ったよりたくさん売れた。昨日買っていった人が今日もまた買ってくれた」と喜んでいます。
労働組合も協力し一方、宮城農民連の三浦勝志さん(47)は「生産者米価が下がって気落ちしている時に、こういうイベントをやると、意気高揚し、気持ちがいい」と述べ、山形・田川農民センターの遠藤光信さん(43)は「お客さんが喜んで買ってくれ、町内全体で生きていこうという感じを受けた。農民連の進める方向で頑張っていきたい」と決意を表明していました。同組合加盟の全店から二十三人がハッピを着て参加。農民連から三十人以上、地元の米卸城南食糧から営業担当八人、地元の労働組合からも五人が参加するなど、お米屋さん、卸、生産者、労働者が一体となったイベントとなりました。
“田舎を丸ごと売る”六郷米穀小売商組合は、大田区の中小商工業が密集する城南地域にあります。スーパーとディスカウント店が三軒あり、米を安く売っていて、お米屋さんも苦境に立たされています。大収穫祭の実行委員長の山田幸朗さん(42)によると「西東京米研のイベントの話を聞き、『このまま手をこまねいていても仕方がない。組合員みんなで何かやってみよう』ということになり、一番若い自分が実行委員長にされた」。 「イベントをしてもお客さんが来てくれるかどうか心配だった」という山田さんは「お客さんがたくさん来てくれ、励みになった。米以外の農産物もいいPRになったと思う。商店街との関係もあるが、将来、田舎をまるごと売るような店にしていきたい」と展望を語っています。 イベントの成功のため労働組合も頑張りました。全労連・全国一般東京地本南部協議会の依田英昭副議長は「区内の労働団体にチラシも配り協力を呼びかけてきた。労働者、中小業者、生産者、消費者が一緒になって地域起こしの運動にしていく第一歩になる」と強調していました。
「もっとご飯を」会場では消費者を集めて講習会が開かれました。福島県の森谷精さん、秋田県の佐藤長右衛門さんをはじめ各県産地の代表が「農薬や化学肥料を極力つかわないで安全でおいしい米作りを進めている」「農業を守ることは環境を守ること」などと説明、アピールしました。
六郷米穀小売商組合 竹内信行組合長の話米屋は生産者の思いを伝えるような売り方をしていかないと生き残れない。農民連の米は、去年はわれわれ米屋がびっくりするほど見事だった。何でこんなにいい米を早く持って来ないんだと言ったくらいだ。今年はいい米もあるけど、ときにはそうでない米もある。検査で一等だったからと安心しないで、愛娘を送り出すつもりで頑張ってほしい。
会場を提供した川田博之さんの話東京の米屋は、日本全国の米を扱っており、味覚が肥えている。農民連の中でも、一生懸命作っている人の米はうまい。同時に、管理の不行き届きも若干見られるので、その点はしっかりやってほしい。われわれは一生懸命売っていきたいし、「あそこの米屋に行けば、農民連の米が手に入る」とお客さんに言われるようにしていきたい。
(新聞「農民」2000.12.4付)
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[2000年12月]
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