本の紹介
WTO下の農業・食糧問題を分かりやすく河相一成・著『恐るべき「輸入米」戦略』――WTO協定から米と田んぼを守るために「WTO協定改正試案を提起」という新聞広告にひかれて読んだこの本の特徴は、とにかく分かりやすいことです。この本の構成は(1)アメリカ食糧戦略の展開を総括的に論じた第一章、(2)入り組んでいて、決して分かりやすいとはいえない「米輸入のしくみ」をかみくだいて解説した第二〜三、五〜六章、(3)日本と世界の食糧・米の現状と解決の方向を平易に展開した第四、七〜八章、そして(4)WTO協定改正試案の提起につらなる第九〜十章の四部。 この本の中心部分、第十章「『WTO協定』のどこを改正するか」では、例外なき自由化や米のミニマム・アクセス、国内助成削減条項の廃止など、五つの改正試案が示されています。 また、四つの章を使って米輸入のしくみや影響、“ミニマム・アクセス=輸入「義務」論”のゴマカシなどを徹底的に、分かりやすく解明。用語の解説、親切なデー夕説明など、そのかみくだきぶりは「よくぞ、ここまで」と思うほど。 農水省は十月末、“ミニマム・アクセスの返上、削減、現状維持の三つの選択肢があるが、WTO協定でミニマム・アクセスを受け入れてしまった以上、今さら返上・削減を言い出せば「各国から強い非難や反発を招く」から、現状維持しか選択肢はない”という方向を打ち出しました。 これでは、最初からまともな交渉をせずに白旗を挙げるようなものですが、WTO次期農業交渉に向けての日本提案づくりにあたって、こういう“変化球”が増えることが予想されます。 こういうゴマカシを見抜き、WTO下の農業・食糧問題を打開する運動を進めるうえで、この本は絶好のプレゼントです。
(真嶋)(合同出版・本体一四〇〇円)
◇「初心者のためのビデオ撮影講座」は休みます。
(新聞「農民」2000.11.27付)
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[2000年11月]
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