「農民」記事データベース20001127-472-09

「すずき産地」の八細工七貧乏

北茨城市から 鈴木孝夫


この組み合わせなら行ける!

アイガモ農法と成苗ポット植え

 「お釈迦様より、草津の湯より」うちの米のキャッチフレーズです。何のことだかわかりませんよね。レンゲソウを有機肥料に、アイガモを除草剤代わりにしたので「恋愛米」というブランドをつけたのです。

 ある時、「化学肥料も農薬も使わなかったら米なんて絶対できない」と農家が断言し、消費者も「そうだよねえ」と理解を示している場面に出くわしました。確かに、そうかもしれません。現に、私の稲作は今年、今までになくうまくいきましたが、それでも三ヘクタール強の田んぼを総平均すると反収は六俵程度。でも化学物質に頼る農法にとどまっていたくないと思っています。

「成苗ポット植え」で今年成果

 昨年は、一般的な稚苗植えをした後、アイガモを放すのが遅れたためにコナギがはびこってしまい、米の収穫はほとんど皆無でした。「無農薬なんかでは絶対できない」というのはまさに実感です。

 いっぽう今年は、同じ田んぼで、反収七俵を上回りました。はじめて取り組んだ「成苗ポット植え」のおかげで、アイガモを放す時期を早くできたことが決定的でした。苗がしっかりしているので、大きくなったアイガモを放して、踏み荒らされて大きな水たまりができてしまう問題も相当改善されました。

「乳苗植え」も試し、失敗したが…

 今年の田植えでは、三十アール程度ですが、逆の試験もしました。「乳苗植え」。これは完全に失敗でした。

 レンゲソウをスキ込んだだけで、あとは何も施肥しないという条件は、成苗植えした田んぼと同じ。ところが成苗植えのほうは肥料が足りないくらいだったのに、乳苗植えのほうは稲が青いうちに全面倒伏してしまったのです。平均収量を下げる結果となりました。

 発芽させて一週間、ひょろひょろと伸ばして、苗代にならべることなく田植えをしてしまうという省力性は「乳苗植え」の大きな魅力です。アイガモ農法との組合せは無理だと思いますが、例えばレンゲソウの生育が悪かった田んぼで無肥料出発でならどうだろうか…。来年も懲りることなく試すつもりです。

(新聞「農民」2000.11.27付)
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2000年11月

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