「農民」記事データベース20001127-472-07

青 刈 り

武 力也


みのりを
こみあげるよろこびを
ひとつのことばはなぎ倒す
 
青刈り
こがねの秋は喉につまり
目は
青刈りという人の方をみる
 
あの人は
今日から明日へ色づいた
稲穂の色をしらない人だ
分けつした稲の上を吹いてくる
風のにおいをしらない人だ
炊きたての飯のにおいを忘れた人だ
 
青刈り
もの心つくまえに口をふさげ
なかったことにしてしまえ
ロツカーに捨てた赤子たちの命と同じ
おれは母おや
 
捨てられる稲の穂よ
お前たちのせわをした
お前たちのみのる秋を夢にみた
たわわなお前を
うらまねばならぬおれを
おれはかなしむ
(詩人会議会員/千葉県船橋市在住)


 (注)政府・自民党は来年から収穫直前の稲をエサ用に「青刈り」(子実前刈り取り)させる制度を作りました。作況が一〇〇を超えた場合、稲ワラもろとも刈り取ってエサ用に発酵させるものです。外米の輸入には手をつけず、日本の農民には史上最大の減反を押し付け、「青刈り」まで実施しようとしており、農民からは怒りの声が上がっています。

(新聞「農民」2000.11.27付)
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2000年11月

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