「史上最大の減反」に怒り各 地政府・自民党は、米価暴落の原因である外米輸入と自主流通米入札の値幅制限撤廃にはまったく手をふれず、史上最大の減反と収穫目前の「青刈り」を強制する来年度の都道府県別の割り当てを十一月一日に発表しました。減反率は昨年より二ポイント上がり三七・五%、面積も初めて百万ヘクタールを超えます。全都道府県で減反面積が増え、北海道をはじめ三都道県では五割を超える減反が押し付けられます。これに対し各地から怒りの声が上がっています。
自家労賃も出ぬ値幅制限復活を北海道比布町 中野芳宣約二十ヘクタールの農地に米を作っています。国の農政に踊って規模拡大をしたつもりはないけれど、米価下落による収入の落ち込みをカバーするために昨年も拡大しました。今年の下落した米価水準は、生産費を大幅に下回り自家労賃も出ない水準です。今後の対応策は、まったく見い出せません。規模が大きいだけ、少しの下落でも本当にこたえます。 生産調整の緊急拡大に取り組む生産者の所得を安定させると称して稲経(稲作経営安定対策)の価格補てん制度ができましたが、北海道米は一俵一万円を切るのも目前です。暴落に手を打たないのなら作付放棄する以外に道がなくなります。 自主流通米入札の値幅制限を復活させないかぎり、経営の維持は絶望的です。
深刻な経営危機上乗せ絶対反対青森市 小泉重年外米が輸入されて七年、政府米の買入制限、自主流通米入札の値幅制限の撤廃など米価暴落のレールが敷かれました。私の経営面積(七・五ヘクタール)でも年間三百万円の減収になり、償却資産が補填できない経営破綻状況に陥っています。稲作経営が破綻しているのに、子どもに後継者になることを勧めるバカな親がどこにいるでしょうか。 最近では、米価が安いので借りた農地を返す人も出始めました。高齢化でやむなく耕作を放棄する状態も広まっています。 現在、日本の潜在水田面積は二百六十四万一千ヘクタール。これを分母に減反面積をはじき出して、市町村の段階で農家の申告した立て札にもとづき、達成率を出しています。しかし、何年も耕作を放棄した水田に立て札を立てていなければ減反の面積にカウントされません。一方では、カウントされなかった面積は、米を作っているとみなされています。実際に青森市農林部もこの事実を認めています。 こんな事態のまま十万ヘクタールを上乗せすれば、米パニックを人為的に作り出すようなもので、国産米の安定供給を望む国民の願いにそむく減反上乗せは絶対に反対です。
「腹立だたしい」はねかえそう!秋田市 鈴木万喜夫限りないコメ輸入と減反拡大、そして米価暴落。「ほんとにハラあンべわりィ」(秋田では「腹立たしい」の語気を強めていうときに使う)。国はむろん、全中にしてもしかり。全中はまったく無批判、無抵抗に国のいいなりではないか。農家と単協の意見をもっとしっかり聞くべきだ。今年は作況指数の割には作柄が悪く、それに米価が一俵千円も下落したため、わが家(水田四ヘクタール弱)では昨年に比べて約六十万円も減収。トラクタ、コンバインの償還が残っていて、この先非常に不安だ。 十一月六日の全県農業委員大会で、再生産可能な所得確保対策やミニマムアクセス米削減・撤廃とセーフガード早期発動を求める要望が採択され、全県農家の怒りが凝縮された内容だった。「百姓はオレの代で終わりだ」といっても、腹の底では「土地は荒らしたくない。作り続けたい」という百姓《が強く残っている。今こそ、農業つぶしの政治を跳ね返すため、あらゆる人々と力を合わせて大いに頑張ろうと思う。近い将来、必ず農業に陽があたる時代がくることを信じて。
農業つぶす自民農政を変えよう岩手県花巻市 久保田彰孝私の経営は、減反の拡大、生産者米価の下落によって、四年前には稲作の収入が七百万円あったものが、今年は四百五十万円に落ち込みそうだ。これでは現在使っている農機具が壊れれば更新できる状況ではなく、厳しい選択をしなければならない。政府は、ミニマムアクセス米輸入に合わせて減反を強化した時、「米価下落を防ぐためにやむを得ない」と説明してきた。しかし、米が輸入されはじめてから生産者米価は六十キロ当たり五千円も下落している。輸入を止めなければならない。 さらに減反を拡大するなら、農民は稲作で生きていくことができなくなる。過去五年間で外米が二百九十万トンも輸入されており、米余りの最大の原因は米の輸入にある。 自民党農政を変えなければ、日本から農家がなくなる。私は農業で食べていけるような農政の実現のために、農業関係者、自治体の首長、地方議会にも働きかけながら自民党農政を変える運動を進めたい。
(新聞「農民」2000.11.27付)
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[2000年11月]
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