「農民」記事データベース20001120-471-06

“食料確保は国の責任”

関東農政局の「WTO意見を聞く会」に230件


 十月三十日、関東農政局が主催して「第二回WTO農業交渉意見を聞く会」が、東京で開かれました。農水省が作成しつつある、年末にWTOに提出する日本提案の骨格案と「コメに関わる検討の視点」に対する意見を聞くというもの。合わせて、インターネットなどを通じて農水省に寄せられたWTO農業交渉に関する約二百三十件の意見の概要を説明しました。

 埼玉農民連の松本慎一事務局長、全国食健連の坂口正明事務局長が参加し発言。都県農政担当者、農業団体、NGOなど約百五十人が集まりました。

 農水省に寄せられた意見は、「国民に必要な食料の確保に国が責任を持つべき」など、国内農業を維持し、各国の農業が共存できるようにすべきで、そのためには補助金等の措置が必要とする意見が大勢を占めたといいます。それにもかかわらず、農水省の「提案」は、急増する輸入農産物にストップをかける具体的な手だても、WTO協定を改定する道筋も示していません。

 松本氏は、埼玉の野菜農家の窮状を述べ、発動を求める意見書が各地であがっているセーフガードについて、「早急に発動し、農水省として農業を守るという姿勢を示すべきだ。輸入の影響で悲鳴をあげている農家の声を聞くべきだ」と怒りを込めて発言。坂口氏は、「食糧安全保障の確立と言うならば、国民の食糧を国内で生産するというスタンスを確立すべき。自給率を高めることが急務だ」と意見を述べました。

 これに対し、農水省経済局の針原寿朗国際経済課長の回答は、農産物輸出国の言い分の解説や言い訳ばかり。「ミニマムアクセス米の七十二万トンは、アメリカ、オーストラリアなどの既得権が確立している。少しでも減らすよう努力するが、なかなか大変なこと」などと述べました。

 消費者団体などからは、食品の安全性や環境保護・資源維持を求める意見が出されました。

(新聞「農民」2000.11.20付)
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2000年11月

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