「農民」記事データベース20001120-471-01

注目される栃木県農民連の取り組み

市場出荷、一日も休まず

新入会した“元気印”母ちゃん達が挑戦

 「大いにものを作り、国産を望む消費者にどんどん届けよう」と、市場出荷に積極的にとりくんでいる栃木農民連の活動がいま注目されています。
(二瓶)


得意の「ホウレンソウ」で販路切り開く

 ピーマン、タマネギ、ニラ、レタス、小松菜、インゲンなど年間を通じて一日も休まず埼玉・上尾市場に出荷するとともに、昨年は福島中央青果、コープふくしま、埼玉中央青果(上尾、大宮市場など)に約十五万束のホウレンソウを出しました。「得意なホウレンソウで局面を切り開こう」と始まったこのとりくみは、今月末に二年目がスタートします。それを前に、十一月二日、上尾市場を訪ね、また六日には福島中央青果、コープふくしまの担当者が県連事務所に来て、懇談を行いました。

 「組合員が作ったものは何でも販売する」「市場と共同して輸入攻勢と立ち向かう」という栃木農民連の運動は、輸入による価格暴落に苦しむ農家を元気づけ、「仲間に入れてくれ」と、新会員を迎えています。

まっとうな価格で売りたいと

 今年六月、小山市の“元気印”のお母ちゃんたち四人が栃木農民連に加入し、初めてのホウレンソウ作りに挑戦しています。

 お母ちゃんたちの主力の作物は、柏崎富江さん(48)が養蚕、横島三枝子さん(49)はトマト、広瀬光子さん(45)は干ぴょう、渡辺せい子さん(37)は根菜類と異なります。また、柏崎さん以外の三人は、父ちゃんがサラリーマンの兼業農家。労働力の主体を担うお母ちゃんたちが知り合い、農民連に加入したのは、小さく作っている葉ものなども「何とかまっとうな価格で売りたい」からです。

 「サニーレタスを出したいって言ったら、海老原さん(県連事務局長)が『すぐでもいいから持って来て』って答えてくれてうれしかった。農協じゃこうはいかないわよ」と柏崎さん。合併後の農協は少ない量では本気になって売ってくれないといいます。「でも市場に出すにしても個人ではぶったたかれる」と広瀬さん。そこで、農民連に入ることにしました。

 「私らの代は、畑が空いているのに作らないと損をするって教わって育ったのよ」「だって畑は捨てられないじゃないの」と明るく話すお母ちゃんたち。そんな彼女らを「みんな本当によく働く。だから元気なんだよ」と、農民連を紹介した塚原豊さん(栃木産直センター理事)は言います。

市場とかけあい対等な関係作る

 「スランプの時もあったけどトータルして見れば、いい値だったよ」昨年のホウレンソウの市場出荷のとりくみをこう振り返るのは、南河内町の大沼澄雄さん(50)。しかし、いい値は自然に付いたのではありません。「いいものを作る」努力とともに、一束十五円に下がった時は、海老原事務局長を先頭に上尾市場を訪ね、「上尾市場から仕入れているマルエツでは一束百円で売っているのに、なんで俺たちの手取りは十五円なんですか」とかけあいました。翌日は値が回復したといいます。

 栃木農民連の市場出荷のとりくみは、誰がどれくらい出し、いくらの値がついたか、誰の目にもオープンなことと、市場の要望も聞くが、こちらも言うべきことを言うという対等な関係が、大きな特長です。

 昨年、ホウレンソウを始めるにあたって、海老原さんは、大沼さんに「農民連に入って一緒にやろう」と話をもちかけました。大沼さんは、近所のホウレンソウ農家の関さん、間舘さん、宇賀持さんらに声をかけ、スタート。もちかけられた大沼さんは「『しめた』と思った」と言います。

 その理由は、父親の病気を機に本格的に農業をやろうと思っていたことと合わせて、農家の庭先を集荷して回る「なげし屋」と呼ばれる業者の価格が大きく変動することと、その理由が不明確なことに不満を感じていたからでした。

 大沼さんは「農民連は情報が早い。会合が多くて、忙しい時には“うるさい”って思うけど、できるだけ顔を出して学んでいきたい」と語っています。

(新聞「農民」2000.11.20付)
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2000年11月

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