アメリカでは全面回収有害! 日本では食品に混入遺伝子組み換えトウモロコシ
アレルギー起こす「スターリンク」検出アレルギーを引き起こすなど人体に悪影響を及ぼす恐れがあるとしてアメリカで回収騒ぎが起き、日本でも食用、飼料用として未承認の遺伝子組み換えトウモロコシ「スターリンク」が国内の市販の食品から検出された――。 これは遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン(天笠啓祐代表)が十月二十五日、記者会見で発表したもので、ただちに厚生省、農水省に対し使用食品の回収や輸入禁止措置をとるよう申し入れました。 これをうけて厚生省、農水省も重い腰を上げ、食品会社に製品の販売自粛を指導したり、確認検査や影響調査に着手。販売会社も製品の回収を始めています。 一方、この問題が日本への農産物輸出の急減につながりかねないと危倶するアメリカ政府は、ただちに緊急の省庁間会議を開いて対策を協議。二十七日には農務省幹部が急遽来日、農水省を訪れて「スターリンク」混入についての釈明と同時に、検査を厳重にすることを条件に日本が飼料用として輸入を早く承認するよう要求するなど、遺伝子組み換え作物の輸入や安全性審査をめぐる動きがあわただしくなっています。 コーンミールから「スターリンク」の遺伝子この問題の発端は、昨年以来、遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーンが、遺伝子組み換え作物が日本でどのような食品に使われているか、その実態を調べ、広く知らせるために行ってきた検査運動がきっかけ。昨年七月には市販のスナック菓子から未承認の組み換えトウモロコシを検出。続いて今年四月の検査では、家畜の飼料から二種類の未承認トウモロコシを検出しました。その一つが「スターリンク」です。 今回検査したのは、首都圏のスーパーマーケットで十月初めに購入したトウモロコシ製品六品目。アメリカに本社のある検査会社に依頼して分析した結果 、家庭用ケーキ、パンの材料に使われるコーンミール一品目から「スターリンク」の遺伝子が検出されました。 「スターリンク」は、欧州の大手バイオ企業アベンティス社が開発した害虫抵抗性のトウモロコシで、アメリカ国内で栽培されています。この「スターリンク」のもっている殺虫蛋白は、耐熱性が高く、消化器系での分解能力が低く、アレルギーを引き起こす可能性が高いためアメリカ環境保護庁(EPA)が飼料用にだけ認可し、国外への輸出は禁止していました。 ところが、九月にアメリカの食品会社が販売していたタコスの皮に使われていることが判明。アメリカ農務省と環境保護局は「スターリンク」の使用を全面 禁止し、全量を政府が買い上げると同時に、十月には栽培認可も取り消すなど厳しい措置をとっています。 飼料として絶対認可しないように申し入れをこれに対して日本では、市民団体から未承認トウモロコシの食品や飼料への混入が再三指摘されてきましたが、農水・厚生両省は、一貫して「そのような事実はない」「検査の仕方が疑わしい」と事実を否認。 キャンペーンの「分析サンプルを提供するから追試を」という要請に「サンプルが適当であるかどうか確認できない」(九月七日、畜産局回答)などとして検査すら拒否してきました。 人体に悪影響を及ほす恐れのある組み換え作物が、水際でなんのチェックされずに日本に上陸し、食品や家畜の飼料として流通 しても、見てみぬふりをして野放しにしてきた政府の対応の遅れ、責任は重大です。 さらに問題なのは、アメリカ国内では、飼料用も含めて使用をいっさい禁止した「スターリンク」混入トウモロコシを飼料用、工業原料用に限って輸出を許可することを、農務省、食品医薬品局、環境保護局が合同で決定し、関係業界に通 達したと報道されていることです(シカゴ十月二十六日発「日本経済新聞」)。すでにアベンティス社は、農水省に「スターリンク」の認可申請を出していると言われており、遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーンでは、十月三十一日、農水大臣宛に飼料として絶対認可しないよう緊急申し入れを行いました。 (塚平)
遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン11・21集会
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[2000年11月]
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