新規就農者に支援金茨城・阿見町で制度発足 単身者に月額10万円
茨城県阿見町で県内初の新規就農支援制度が、今年四月にスタートしました。制度の実現に奮闘した茨城県南農民組合理事の荻島光明さん(日本共産党町議=52)は、「町が本気で地域農業を守る姿勢を示すことで、若者が農業に挑戦してみようと思う呼び水になれば」と語っています。 阿見町の「新規就農者支援対策事業」は、(1)三十五歳以下の単身者に月額十万円、四十歳以下の既婚者に月額十五万円の助成金を就農後三年間支給、(2)農地や住居のあっせん、農業技術・経営の指導、機械や資材にかかる資金のあっせんを行うというもの。 (1)の助成金額は、十分とは言えませんが何とかそれだけで生活できる水準。また、(2)は定年退職後の新規就農者も対象になります。 「中山間地域の農業振興・過疎対策として新規就農支援を行っている例はあるが、平場で、しかも都市化が進行している地域ではめずらしいと思う」と町経済課の担当者。十件ほどの問い合わせがあったとのこと。 茨城農民連青年部長の椎名俊英さん(藤代町の専業農家=33)は、「就農希望の茨城大学の学生にも、阿見町の支援制度を紹介した。この制度が全国に広がってほしい」と言います。 霞ヶ浦の西岸に位置する阿見町は水田のほかレンコン、ネギ、サツマイモなどの近郊野菜が盛んな一方、都市化が進んできました。 「町内では過去十五年、新卒の農業後継者は一人も出ていません。あと十年もすれば、田畑は維持できなくなる」。荻島さんは、議会で就農支援制度の必要性をこう訴えました。 荻島さんが、千葉県佐原市の農民組合が作らせた支援制度をもとに初めて提案したのは五年前。当初は、「行革に逆行する」と棚上げに。しかし荻島さんは議会で繰り返し取り上げ、「国の方針にもとづくやり方では、町の農業振興はうまくいかない」ことを認めさせ、町長から「一緒に農業振興を考えていきたい」という答弁を引き出しました。 そして今年三月議会では全会一致で成立。「国の農政を批判する一方で建設的な提案をしてきた。その過程で、農業の厳しい実態が明らかになり、町の財政事情のなかで最大限の援助をしようと変わってきた。ねばり強く、行政を味方にする努力が大切」と、荻島さんは話しています。
(新聞「農民」2000.11.6付)
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[2000年11月]
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